出産する病院も特定され──川崎希が対峙したネット中傷、それでもSNSをやめない理由
「出産の日も病院に電話が」訪れる先々での嫌がらせ
2019年、川崎はママ向けの掲示板サイトに対し、執拗な嫌がらせを書き込んでいた人物の情報開示請求をした。川崎から相談を受けた警視庁が捜査を進め、2人の女性が侮辱容疑で書類送検されている。 ネット上での誹謗中傷に悩む有名人は少なくない。川崎も成功していくにつれ、嫉妬、羨望が渦巻く言葉のつぶてを浴びるようになる。嫌がらせはネットの範疇を超えてエスカレートし、川崎夫妻が訪れたさまざまな場所にいたずら電話が入るようになった。行きつけのカフェ、高級車の整備店。リアルタイムにかかってくることもあれば、時間差で「川崎希が万引きしていた」「カフェのカトラリーを持ち帰っているのを見た」などといった作り話を吹聴されることもあった。 「上の子を出産する時は裁判前で、かなり大変でした。病院名なんて公表してないんですけど、SNSとかで目撃情報を探して突き止めるんですよね。出産の日も、病院にすごい数の電話がかかってきて……。電話の内容も、私が公開した写真を見て、『ベッドの上でおにぎり食べるのはどうなんだ』とか……病院の人もびっくりしていました。電話は一人ではなく複数人で、当番制のようにしてやっていたようです。お店にかける電話も『私もその場にいて、目撃した』とか、本当っぽく言うわけです。そういう根も葉もないことがまたネットで広がり、炎上していく。もう、いい加減にしてほしかった」 アイドル時代は、ブログにアンチコメントがきても、男性ファンたちが川崎を擁護してくれていたという。誹謗中傷が増えたのは、結婚し、ファンが女性中心にシフトしてからのことだ。
「家族に危害が及んだら……」
「知らない場所に、『バーカ』とか書かれても全然気にならないし、見にも行かないですよ。言葉はまだ、我慢できた。でも、実生活に被害が及ぶようになって、これはいよいよまずい、と。一番こたえたのは、新居へ引っ越す時に、引っ越し先の住所を番地まで、すべてネットに載せられてしまったことでした。これも目撃情報から位置情報を調べ、建設中の家を探し、それで書き込んだようです。探偵レベルの捜査力ですよね。前の家も知らない人に見張られたことがありました。これ以上エスカレートして、家族に危害が及んだら……と思うと恐ろしかった。それで裁判に踏み切ったんです」 加害者は特に悪質性が高いとされた2人に絞り込まれたが、それぞれ別の地方に暮らす主婦層の女性だった。 「名前や住所、顔写真も見ましたから、プロフィールはわかっています。粘着質に何度も書き込みをされた内容と、本人の実際の暮らしぶりとは、ずいぶん違う印象を受けました。なんだろう、ネットでは、別人格になっているような……。自分とは違う架空の完璧な人物を作って、そこから見た私を攻撃している、という感じ。嫌がらせをしている時が一番快感を得られるんだと思います。相手は、きっと私じゃなくてもよかったんじゃないでしょうか。事実を認めて、すぐに反省の意を見せたということなので、刑事告訴は取り下げました。でもこうした嫌がらせをする心理は、正直、まったく理解できないです」