デンゼル・ワシントンのユーモアを作品に反映!?『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』舞台挨拶でプロデューサーが感謝
開催中の第37回東京国際映画祭にて11月5日に行われた映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(11月15日公開)の舞台挨拶にキャストのデンゼル・ワシントン、コニー・ニールセン、フレッド・ヘッキンジャー、プロデューサーのダグラス・ウィック、ルーシー・フィッシャー、マイケル・プルスが登壇。ファンの歓声に包まれながら、24年の時を経て完成した続編制作の裏話を語った。 【写真を見る】東京国際映画祭にデンゼル・ワシントン、コニー・ニールセン、フレッド・ヘッキンジャーが登場! 本作は、リドリー・スコットが監督を手掛け、アカデミー賞作品賞や主演男優賞など5部門を受賞した前作『グラディエーター』(00)の24年ぶりの続編。ローマ帝国の圧政によって自由を奪われた男、ルシアスが剣闘士となり、闘技場での闘いに身を投じる姿が描かれる。 主人公ルシアス役のポール・メスカルは、前日に行われた会見には出席したが、個人的な事情により帰国となり舞台挨拶への登壇は叶わず。「登壇できないことは残念だけど、とてもすてきな映画なので楽しんで!」と会場に集まったファンに向けてお詫びのビデオメッセージが届けられた。 主人公の命運を握る“謎の男”マクリヌス役のワシントンは「偉大なるリドリー・スコットの作品を皆さんにお届けできることがうれしい」と笑顔で挨拶。11年ぶりの来日に客席から歓声が湧き起こると、「1作目から出ているコニーと来日できてうれしいです。(2作目から出演している)私たちは新人なので心強いです!」と前作から続投のニールセンと本作から参加しているヘッキンジャーと視線を交わし、笑みを浮かべた。 本作でルシアスの母、ルッシラを演じているニールセンは続編について「すべてを失った女性が歩んだ25年を皆さんに伝える機会。まるで贈り物をいただいたような気持ちでいっぱいです」としみじみ。「豊かな物語をお伝えできることをうれしく思います」と感無量の面持ちで会場を見渡していた。 双子皇帝の兄、カラカラ帝役のヘッキンジャーは今回が初来日。東京に来るのは3、4回目というワシントンは「プロモーションばかりで観光はできていないけれど、妻はあちこちにショッピングに行っています」と報告。「きっと財布が悲鳴をあげているはず(笑)。でも、皆さんが映画を観に来てくれるおかげで、稼げているけれどね!」と茶目っ気たっぷりに語ったワシントン自身は、ホテルでのおいしい食事を堪能したと明かし笑顔。少しでも時間が出来たら、出かけて東京を満喫していると話したニールセンは日課のジョギングも欠かさなかったとし、「朝は皇居の周りを走ったし、子どもたちに頼まれた買い物もたくさんしました」と充実感を漂わせていた。初来日のヘッキンジャーは小津安二郎、黒沢明など日本の映画監督の大ファンであると告白。「大好きな小津作品、黒沢作品を通して見てきた日本に自分がいるんだって思うと、すごくシュールだけど胸がアツくなります!」と興奮気味に語り、大きな拍手を浴びていた。 24年の時を経ての続編制作について、プロデューサーのウィックは「僕たちは(続編の制作を)急いでいませんでした」とし、その理由は「1作目で主要キャラクターを2人、殺してしまったらね(笑)」だと笑い飛ばす。「コニーがいたことがとても大きかった」と話したウィックは、「1作目は映画の神々からの恩恵、祝福を受けたので、続編はリドリー・スコットというすばらしい監督のもと、古代ローマの物語をどう伝えたらいいのかを考えました」と明かす。5年考えても納得いくものができず、10年を費やしてもなにかが足りないと感じたとし、「(24年という月日をかけて)ようやく観客の皆さんにとっても、演じるキャストにとっても価値のある物語に至りました」と説明。フィッシャーは「最高のキャスト!」と力を込め、「デンゼルは脚本のなかには存在しないユーモアを見出してくれました。それを我々は作品に投影し、人間味そしてユーモアあふれるものが出来上がりました」と胸を張ると、会場は大きな拍手に包まれた。 ゴージャスな劇中衣装に話が及ぶと、本作から参加のワシントンが「私からも質問がある!」と挙手し、「24年の時を経て、衣装に変化はあったの?」と質問。ニールセンは「24年前と変わらない衣装を着こなしているのよ」と得意げに返答。ワシントンの衣装についてはウィックが「デンゼルの衣装は彼の才能に見あった新しい衣装を用意しました」と制作秘話を明かしていた。 舞台挨拶はあっという間に最後の挨拶の時間に。観客へのメッセージを求められると「なにを言ったらいいのか、いつも困るんだよね」とワシントンはニールセンに助けを求める。「古代ローマは現代の社会を映す鏡だと思います」とのニールセンのメッセージにワシントンは拍手を送り、プルスは「この映画は大作です。ぜひ、映画館でワクワクする体験をしてください」と呼びかけ、「リドリー監督も、私たちがいまここにいることをとても喜んでいます!」とスコット監督の思いに触れ、映画をアピールして締めくくった。 取材・文/タナカシノブ