持病があります。具合が悪くなった時、ひとり暮らしで頼れる人はおらず救急車を呼ぶのも気が引けます。「民間救急」という搬送サービスがあるそうですが、どのようなものですか?
具合の悪い時やケガをしたときでも、移動が必要なことがあります。患者自らハンドルを握ることができれば自家用車でも良いかもしれません。しかし、そもそも自家用車を持っていないこともありますし、運転できる状況ではないこともあります。そんなときに思い浮かべるのが救急車ですが、民間救急という選択肢があるのはご存じでしょうか? 本稿では患者等搬送事業者(民間救急事業者)についてみていきます。
ストレッチャーで横になったまま移動できる
ストレッチャーで横になったまま移動できる交通手段があります。患者等搬送事業者(民間救急事業者)の搬送サービスです。 東京都の場合を例に挙げます。 東京消防庁が認定した民間の業者が有料で行っています(料金は後述します)。乗務員は応急手当などの講習を受けています。また車両は一定の装備や資器材を備えた寝台自動車、寝台・車椅子兼用車、車椅子専用車などが用いられています。東京都で患者等搬送事業を提供している登録事業者は「東京民間救急コールセンター登録事業者一覧」からマップ検索できます。
搬送料金の例
ここで患者等搬送事業者の運賃の例を挙げてみましょう。 まず、運賃の対象となるのは事業者の車庫を出発するところからです。そして、患者の搬送を終え、事業者の車庫に戻るまでが料金の運賃の対象になります。そして、要した時間か走った距離のどちらか多いほうで運賃を計算します。 東京都(23区・武蔵野市・三鷹市)の寝台自動車適用認可運賃の場合、初乗り30分まで、あるいは初乗り7.5kmまで3700円(税抜き)です。そして、以後時間が30分増すごとに、あるいは走行距離が7.5km増すごとに3100円が加算されます。運賃は、国土交通省関東運輸局が地域ごとに基準を定めています。 また運賃の他に、患者の状態や使用する資器材などで異なる加算料金が掛かります。他に、介護料金、有料道路料金、深夜割増料金などが掛かることがあります。
救急車と患者等搬送事業者(民間救急)の違い
「突然の高熱」や「ふらふらとして立っていられない」場合や、「15歳以下の子どもの唇が紫色をしている」場合などは、一刻を争う緊急性の高い病気の可能性があります。 こういう場合には民間ではなく、電話番号119で救急車を呼んだほうが良いかもしれません。救急車を呼んだほうが良いか否か迷う場合には、救急安心センター事業#7119に電話をして相談すると良いでしょう。 一方、患者等搬送事業者(民間救急事業者)は緊急性の低いときに利用します。例えば、病院への移動、転院、引っ越し、温泉治療に向かう場合などです。