サクラマスの人工ふ化 命の水に温暖化の影響 冷水を求めて利賀の養魚場へ
富山テレビ放送
自然と人の営みを映像で綴るジオグラフィックとやま。 サクラマスの稚魚を育てる現場にカメラが密着しました。 射水市の庄川沿岸増殖場。毎年およそ4000匹のサクラマスを3年かけて育て、人工ふ化させています。 体長40センチほどに育ったメスのお腹から卵を取りだしてゆきます。 サクラマスを担当する島田さん。 「だいたい80万粒の卵を採っている。卵の発眼率が80パーセント前後、だいたい2割ぐらいは死んでしまう。稚魚自体は40万~50万生産しています」 サクラマスやイワナなど冷たい水を好む魚が地球温暖化の影響もあり数を減らしています 適度な水温を保つ必要がある養魚場でも温暖化で魚を飼育すること自体が難しくなってきているといいます。 人工授精から20日。 卵の中に稚魚の眼と体がはっきりとわかる「発眼卵」と呼ばれる状態に育っていました。 あと5日ほどで生まれてくる小さな命です。 担当の島田さんが発眼卵を箱に詰めてゆきます。 「庄川魚連の井戸水(伏流水)が13~14℃。山(山間地)に持っていってふ化させたほうがうまく育つ」 島田さんが向かったのは南砺市利賀村にある養魚場。 卵が孵化し、餌が食べられるようになるまで、ここで育ててもらいます。 山間地の冷たい水が稚魚の成長に欠かせないからです。 「冷たい水の方がゆっくり成長できる。栄養をちゃんと蓄えてくれる」 百瀬川から引かれる水は10度ほど。庄川増殖場の伏流水より4度ほど低い。 「温暖化によって冷水性の魚がどんどん減ってきている。昔は雪が降ったり止んだり冬の間雪がずっとある状態だった。今は一度降ったら解けて無くなってしまう。1月の下旬には雪がない状態。水温が下がらないことが魚を育てる上で問題」 雪深い山々から流れ出る利賀の清流百瀬川の冷たい水がサクラマスの稚魚たちを年明けまで育みます。 「一番大事なもの・・・。水がないと・・・。水が命」
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