大阪・企業の9割「価格転嫁は無理」 ── 電気料金再値上げ影響調査で判明
大阪商工会議所が会員企業に実施した関西電力が4月から電気料金を値上げした場合の影響調査によると、9割の企業が「価格転嫁は無理」と深刻な打撃を想定していることが分かった。節電対策が限界に達しているため、電力を大量消費する製造業の中には、「関電管内から出ていかざるを得ない」という関西撤退の動きもうかがえ、関西経済再生へ予断を許さない。
「節電はやり尽くした」「もう限界」
この調査は1月、会員企業1356社を対象に実施し、243社から回答があった。関西電力は2013年春、企業向けで10%超の電気料金値上げを行ったが、さらに今年4月から企業向けで10%超の値上げを経済産業省に申請している。 原発停止に伴う火力発電の燃料費の増大が再値上げの理由だが、再値上げが実施された場合、企業にとっては大幅値上げが短期間に相次ぐことになる。 会員企業に電気料金上昇分を製品やサービスの価格に上乗せできるかを聞いたところ、「ほぼ全額転嫁できる」は全体のわずか3・3%だけで、90・5%は「ほとんど転嫁できない」と答えている。電力再値上げが企業経営を直撃しかねない情勢だ。 さらなる節電やコスト削減努力を実施する余地があるかとの質問に対しては、3割弱(28・8%)の企業が「節電やコスト削減努力はおおむねやり尽くした」と回答。「実施する余地は少ない」(64・6%)を合わせた9割強(93・4%)の企業から、節電は限界に近いことが指摘されている。
電力購入先変更の動きが加速か
再値上げが実施された場合、関電管内で企業活動の縮小、抑制、撤退を検討するか聞いたところ、28社が検討すると答えた。検討項目は「生産拠点」(50・0%)がもっとも多く、「営業・販売拠点」「本社機能」(いずれも46・4%)、「物流拠点」(33・7%)が続いた。 電力購入先の変更予定の質問に対しては、「現在、関西電力のみから購入しているが、再値上げが実施された場合、他の電力会社からの購入を検討する」との回答が3割弱(28・8%)あった。 「すでに関西電力以外からも購入しているが、他の電力会社からの購入割合を高めたい」(4・9%)を合わせて、3割強(33・7%)の企業が、関西電力以外への購入先変更の動きを加速させそうな情勢だ。