奥能登豪雨、1人死亡 10人不明、16河川氾濫 県内初の特別警報
●輪島121ミリ、珠洲84ミリ、観測史上最大 石川県内は21日、奥能登を中心に猛烈な雨が降り、気象庁は珠洲、輪島、能登の3市町に大雨特別警報を出した。県内での発表は初。1時間降水量は輪島で121ミリ、珠洲で84・5ミリと観測史上最大となり、16河川が氾濫した。珠洲市で男性1人が死亡、3市町で少なくとも10人が安否不明、能登町で2人が重傷。各地で住民が孤立し、能登半島地震の仮設住宅でも浸水被害が発生した。 【写真】浦上川が氾濫し、住宅地に押し寄せた流木=21日午後2時45分、輪島市門前町浦上 ●仮設住宅でも浸水 珠洲市若山町広栗では午前10時40分ごろ、土砂崩れで倒壊した家屋に70代男性が取り残され、6時間後に救助されたが死亡が確認された。同市真浦町の垂水川に同市の70代男性が流され、海上保安部などが捜索している。輪島市、能登町でも各1人が行方不明になっている。 土砂が流出した輪島市の国道249号中屋トンネル付近では、作業員約60人のうち3人の安否が分からず、土砂に巻き込まれた可能性がある。同市久手川(ふてがわ)町では塚田川の増水で住宅3棟が流され、4人の安否が確認できていない。 仮設住宅のうち輪島市、珠洲市の8団地が床上浸水した。輪島市では浸水想定区域に建てた仮設住宅で被害が出ており、馳浩知事は災害対策本部員会議後の報道陣の取材に「早急に対策を講じたい」と述べた。 県は七尾、輪島、珠洲、志賀、穴水、能登の6市町に災害救助法を適用した。 県内では午前9時ごろ、奥能登に線状降水帯が発生し、記録的短時間大雨情報が相次いで発表された。輪島の1時間降水量121ミリは県内の観測史上最大を更新した。24時間雨量も輪島で300ミリ、珠洲で200ミリを超え、観測史上1位を大幅に上回った。 ●22日も警戒 金沢地方気象台によると、22日も前線や温帯低気圧の影響で、能登を中心に昼前にかけて非常に激しい雨が降る見込み。同気象台は引き続き低い土地の浸水や河川の氾濫、土砂災害などに最大級の警戒をするよう呼び掛けている。