バイデン米大統領、年内利下げの予想維持を表明-根強いインフレでも
(ブルームバーグ): バイデン米大統領は10日、最新の消費者物価指数(CPI)統計でインフレの根強さが示されたものの、米金融当局が年内に利下げを実施するとの自身の予想を維持すると述べた。
ホワイトハウスで岸田文雄首相と共同記者会見に臨んだバイデン氏は「年末までに利下げが行われるとの予想を堅持する」と発言。同日発表のCPI統計によって利下げは少なくとも1カ月遅れる可能性があるとしながらも、金融当局がどう動くかについては結局のところはっきりしないと話した。
米コアCPI、3カ月連続で上振れ-米利下げ後ずれの可能性 (4)
CPIのうち変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が3カ月連続で市場予想を上回る伸びを示したことは、再選を目指すバイデン氏への新たな打撃となった。有権者が物価高でバイデン氏にマイナスな評価を下すと共に、大統領が予想する利下げの期待も先送りされるとの懸念が強まった。
しかしバイデン氏は根強いインフレを認めつつも、「インフレ率を9%から3%近くまで劇的に低下させた」と経済運営の実績を強調した。
ホワイトハウスは通常、金融当局の決定についてコメントせず、バイデン氏も当局の独立性を尊重するとしてきた。しかしバイデン氏は先月、利下げを予想していると述べていた。
大統領選前の利下げの可能性後退
ただ、最新のCPI統計により11月の大統領選前の利下げ実施を想定するのは一段と困難になった。米2年債利回りの急上昇やS&P500種株価指数の主要セクターの低下は投資家の間に6月利下げへの懐疑的な見方が広がっていることを示唆している。7月までに利下げに踏み切らなければ、その次の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合は9月になる。
そうなった場合、選挙結果に影響を与えようとしていると受け止められないよう、金融当局は大統領選挙後まで利下げを待つだろうと一部のエコノミストは指摘する。
ドレイファス・アンド・メロンのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は「パウエル議長の責務の一つは連邦準備制度の公的評価を守ることだ」とし、「FOMCが動く時期が選挙に近づけば近づくほど、連邦準備制度の意図が疑問視される可能性は高まる」と説明した。