災害時の車中泊…注意すべき点は?お父さんの車の趣味が“ノアの箱舟”に大変身!?
――先ほど「自分のクルマについて、車中泊の視点から知っておくことが重要」と。まずはどんなところを知るべきですか? 「車種にもよりますが、どういうシートアレンジができて、どこに、誰が、何人まで寝られるのかということは、最低限知っておく必要があります。 クルマがセダンのような車種の場合、寝られるのは基本的に運転席と助手席のみ。シートを前に倒してラゲッジルームで寝られるクルマでは、比較的フラットになるものの、今度は荷物の移動するなど、工夫や作業が必要になってくる。 そのため『カーネル』では、まずは実際に車内で寝てみて、就寝人数を把握することをオススメしています。体格差などがありますから、どんな状態になるのか? 実際にやってみないとわかりません。他にも、思ったよりシートの段差が気になる、音や明かりが気になる…など、細かな点も体感できます」 「ちなみに、キャンピングカーの就寝スペースと同様に、大人一人が快適に寝るためのスペースは、横幅は55cm+α、長さは身長+15~20cmが目安です。先のイベントでも“寝られる人数が案外少ない、車内が狭く感じる”という感想が多く聞かれました」 ――実際にやってみなければとわからないこともある。車種とともに、家族構成によっても状況が変わりそうですね。 「両親と小さいお子さんならばコンパクトカーでも就寝可能なクルマもありますが、例えば、両親と高校生の長男、中学生の長女という家族構成の場合、ワンボックスカーやミニバンでない限り、4人は寝られません。車内で寝られない家族については、避難所へ行くか、テントやタープなどを用意することを考える必要があります。 我が家もそうですが、年頃の娘がお父さんと並んで寝る…というのもなかなか難しいでしょうから、車内の配置も想定する。より防犯やプライバシー対策が重要になる女性がクルマで、男性がテントというように、事前に振り分けを考えておくことも大切です。 こうしたさまざまな事前準備が、災害時の心の余裕やストレスの緩和につながります。普段から車中泊をキャンプやレジャーとして楽しみ、合わせて、災害時のシミュレーションもしておくといいでしょう」 備えあれば患いなし――。来る災害に備え“避難生活でクルマを活用する”べく、車中泊の正しい技術と知識を学んでおくことが大切ということがよく分かった。
【大橋保之 プロフィール】 1972年生まれ。愛知県出身。「カーネル(株)」代表取締役社長。車中泊を楽しむ雑誌『カーネル』(年6回発行)の編集長。アウトドア情報メディアサイト「SOTOBIRA」も運営。車中泊、キャンピングカー、キャンプ、登山など、アウトドアに関するオリジナル記事を展開中。著書に『やってみよう! 車中泊』(中公新書ラクレ)などがある。 (取材・文/橋本達典)
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