FRBが信るもう一つのインフレ指標、追加利下げのハードル下げる
(ブルームバーグ): パウエル議長をはじめとする連邦準備制度理事会(FRB)当局者らは、経済見通しに自信がある根拠を説明する際、聞き慣れない物価指標に言及することが増えた。「市場ベース」のインフレだ。
この指標ではデータ収集のプロセスで直接的に価格を測定できず、代わりに推定値を採用せざるを得ないさまざまなサービスが除外されている。その結果、ここ数か月のインフレ様相は違ってくる。FRBが重視するインフレ指標、個人消費支出(PCE)コア価格指数は11月に前年同月比で2.8%上昇した。一方で市場ベースの指標は5月からずっと、前年同月比2.4%の上昇率付近でほぼ変わらない。
12月17-18両日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)は、主要政策金利を0.25ポイント引き下げることを決定。一方で2025年に見込む利下げ回数は従来予想から減少し、引き下げペースを巡り当局者らが慎重姿勢を強めていることが示唆された。
米国債利回りが上昇し、投資家が今年の利下げ見通しを後退させている中で、両者の区別は重要だ。FRB当局者らはこれまで、追加利下げの前に2%目標への進展をもっと確認したいと示唆しながらも、もう一つの指標である市場ベースのインフレに繰り返し言及している。これは追加利下げのハードルが比較的低いと示唆している可能性がある。
ウォラーFRB理事は8日の講演で、代替指標である市場ベースのインフレを注視する意義を説明した。インフレの沈静化が継続すると考えている同理事は、今年の追加利下げを支持している。
「2024年のインフレは住宅サービスや非市場サービスといった、帰属価格の上昇が主な要因だった。これらは直接測定されるのではなく推計値であり、すべての財とサービスにおける需給バランスを判断する指標としては信頼性が低いと考えている」とウォラー理事は述べた。
同日に開示されたFOMC議事要旨には、「多くの」政策当局者がウォラー氏の見解に同意したことが記された。