20歳の新鋭フィスがハンブルクでATP500初優勝!前年大会覇者ズベレフとの3時間超えの熱戦を制す<SMASH>
男子テニスツアー「ハンブルク・オープン」(7月15日~21日/ドイツ・ハンブルク/クレーコート/ATP500)は現地21日にシングルス決勝を実施。第5シードのアルテュール・フィス(フランス/世界ランク28位)が、ディフェンディングチャンピオンで第1シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/同4位)を6-3、3-6、7-6 (1)のフルセットで下し、ツアー2勝目を飾った。 【動画】フィス対ズベレフの「ハンブルク・オープン」決勝ハイライト 昨年5月の「リヨン・オープン」(フランス・リヨン/クレー/ATP250)で記念すべきツアー初優勝を飾った20歳のフィス。先のウインブルドン(イギリス・ロンドン/芝)で快進撃を見せ、四大大会初の16強入りを果たした期待の新鋭の勢いは今大会でも衰えることはなかった。 ジャウメ・ムナール(スペイン/65位)、ラスロ・ジェレ(セルビア/57位)のクレーコーター2人を破ると、準々決勝はホルガー・ルネ(デンマーク/16位)の途中棄権により勝利。準決勝でも格上のセバスチャン・バエス(アルゼンチン/18位)に6-2、6-2で快勝し、過去0勝2敗と1度も勝てていなかったズベレフとの注目の決勝を迎えた。 試合はフィスが前回王者のズベレフを相手に第1ゲームからいきなり3ゲームを連取。ベースラインの後方で受け身に回るズベレフに対して攻撃的なプレーを見せ、1ブレークのリードを守り切って第1セットを先取する。しかし緊迫の展開が続いた第2セットは終盤で均衡を破られ、1セットオールに持ち込まれる。 運命のファイナルセットは両者一歩も譲らないまま終盤に突入。5-5で迎えた第11ゲームではフィスがエラーを重ね、30-40とピンチに立たされる。だが次のポイント、絶体絶命の状況下でフィスは相手の意表を突くアンダーサービスを披露。これはわずかに枠を外れてセカンドサービスとなったものの、あわや失点という場面を作られたズベレフは苛立ちを隠せない。 ズベレフのメンタルを乱すことに成功したフィスは、直後のセカンドサービスでリターンミスを誘ってブレークポイントをセーブ。結局このゲームをキープしたフィスだったが、第12ゲームはブレークできず、勝負の行方はタイブレークに委ねられる。ここではフィスが出だしから5ポイントを立て続けに奪うなど主導権を掌握。3時間33分の大熱戦をものにし、約1年2カ月ぶりのツアータイトルを手にした。 22本中21本のブレークポイントを凌ぐ驚異の精神力で優勝をつかみ取った20歳は、勝利者インタビューで試合内容を振り返りつつ、次のように喜びを語った。 「最初から簡単ではないことはわかっていた。第1セットはうまくプレーできた。少し運が良かったと思うが、素晴らしいプレーができた。第2セットは彼(ズベレフ)が僕よりも良いプレーをした。 その後に屋根が閉まったが、そこからは激しい戦いになるのはわかっていた。最後のポイントまで、最後のボールまで戦う必要がある。こういう瞬間のために長い間練習してきたから、勝てて本当にうれしい」 なおフィスのATP500カテゴリーでの優勝は今大会が初めて。この結果、大会後に更新された世界ランキングで自身初のトップ20入りを果たした。 文●中村光佑