ドラフトで脚光も今年の「大卒新人」にケガが多いのはナゼか? 囁かれる「コロナ禍」の悪影響とは
夏の甲子園大会がなかった……
彼らは、新型コロナウイルス禍で夏の甲子園大会が中止となっている。それも、高校3年生の最後の夏の大会だったため、大学でのリーグ戦に懸ける思いは例年の4年生よりも強いそうだ。 その強い思いは宗山も同様で、今年2月、社会人・明治安田生命との練習試合で右肩甲骨を骨折。さらに、5月にも不規則打球の処理を誤って右手中指を骨折したが、試合を休もうとはしなかった。 「右肩甲骨を折ったときは全治3ヶ月と伝えられましたが、驚異的なスピードで実戦に戻って来ました。ただ、4年春のリーグ戦はその影響もあって、打率1割7分4厘と低迷してしまいましたが」(前出・同) 宗山も代表候補の強化合宿を辞退したが、8月に行われた巨人三軍との大学交流戦には出場している。そこで2安打を記録し、プロ投手のスピードボールにも十分対応できることを証明してみせた。だが、ネット裏から視察した在京球団スカウトからはこんな指摘も聞かれた。 「試合前のノックから、野球センスを見せつけていました。とにかくグラブ捌きが柔らかく、打球のほうから彼に吸い付いていくようでした。怪我は仕方ないにしても、なぜ焦ったように試合に出たがるのか分かりません。仮に4年生の春と秋の両方のリーグ戦を全休していても、1位の評価は変わらなかったと思います」 金丸も含めて、学生最後のリーグ戦で無理をした反動がプロ1年目の来季に出てしまうのではないかとの懸念はある。やはり、コロナ禍で甲子園大会を奪われた4年前が影響しているのかもしれない。首都リーグの指導者の一人がこう続ける。 「今の大学4年生と話すと、『甲子園出場が夢だった。その大会が中止になったので、大学でも野球を続けることにした』と話す学生が何人かいました。ただ、彼らが新1年生として入ってきたとき、最初に感じたことは体力不足です。長距離走をさせるとバテるのが例年の1年生よりも早いし、素振りを100回させたら、段々と崩れてくるんです。本人たちは気付いていなかったようですが、同じスイングで100回続けてバットを振る体力がありませんでした」 コロナ禍で練習も制限されていたことが原因である。地方の野球強豪校での合宿生活を送っていた当時の高校生たちはいったん自宅に戻ることになり、自宅から通っていた大多数の球児たちも2時間程度の練習で切り上げなければならなかった。大学4年生のドラフト候補生に怪我が目立つのも、コロナ禍が関係しているようだ。