無人6駅の券売機を撤去 JR七尾線、利用は9月末まで 乗客基準満たせず、新紙幣対応が契機
●サービス低下拍車の懸念 羽咋、津幡、中能登、宝達志水の4市町にあるJR七尾線6駅の自動券売機が9月末で廃止されることが26日、JR西日本金沢支社への取材で分かった。新紙幣に対応した機器への更新を検討した際、1日当たりの乗客数などが新設の社内基準を満たさなかったという。10月以降は利用者が運賃を把握して乗車後に支払う必要があり、地元住民からはサービス低下で利用減に拍車が掛かることを懸念する声が上がった。 【写真】券売機がなくなるJR金丸駅=中能登町金丸 券売機が廃止されるのは、能瀬(津幡町)、免田(宝達志水町)、敷浪(同)、千路(羽咋)、金丸(中能登町)、能登二宮(同)の6駅。いずれも無人駅で、金丸、能登二宮の2駅は30日正午、ほか4駅は同日午後4時で稼働を終える。 10月からは、無人駅では運賃収受箱に現金を入れるか、駅員がいる駅では乗車駅を伝えて運賃を支払う仕組みとなる。 6駅は昨年度の1日当たりの乗客数が最多の能瀬駅でも214人で、千路駅は最少の32人だった。定期やICカードの利用者数も含んでいるため、券売機で切符を購入する人はこれより少ないとみられ、いずれもJR西が設定している券売機の新設基準を下回ったとみられる。担当者は「元日の能登半島地震は関係ない」と説明した。 七尾線では、既に南羽咋駅の券売機が撤去されており、今回の6駅を合わせるとJR所管の七尾線19駅のうち、3割強が券売機のない無人駅となる。 金丸駅近くに住む男性(86)は「これまでより不便になる。ますます電車に乗らなくなってしまう」と不満を漏らした。一方、石川高専に通う中能登町の男子学生は「定期しか使ってないので、券売機がなくなっても気にならない」と話した。 JR西は2022年春のダイヤ改正に合わせ、七尾線の減便や和倉温泉駅などの無人化に踏み切った。全国では不採算路線の見直しも進めており、券売機が廃止される駅のある自治体職員は「減便など利便性が大幅に悪化するものではなく、仕方ない」と漏らした。