楳図かずお先生がホラー版「ドラえもん」を描いた? 未読の人にもすすめたい名作短編
子ども時代の友だちから卒業をする物語
2024年10月28日、楳図かずお先生が胃がんのため亡くなりました。88歳でした。『漂流教室』や『洗礼』などを手がけたホラーマンガの第一人者として知られるほか、ギャグマンガ『まことちゃん』も有名な楳図先生は、短編でも名作を世に送り出しています。 【画像】え…っ?「表紙だけでトラウマ級」「3次元でもモクメ怖すぎる」こちらが楳図かずお先生の傑作『ねがい』とその実写版です(4枚) そのなかには、「ホラー版『ドラえもん』」ともいえる『ねがい』という作品もあります。楳図先生の作家性が濃厚にあらわれている入門作としてもピッタリで、なおかつトラウマ級の恐怖が待ち受けている名作中の名作なのです。 ※以下、『ねがい』と、『ドラえもん』の「さようなら、ドラえもん」の内容の一部に触れています。 ●「友だちだと思い込んでいる」存在に願いをかける物語 『ねがい』のあらすじはこうです。友だちとあまり遊ばない少年「等(ひとし)」は、ゴミ捨て場で「人間の頭」のように見える木の切れ端を拾ってきて、木にクギを打ち付けて「口」を作り、さらには「髪の毛」を付けて、自分だけの「ロボット」を作ります。等はロボットに「モクメ」と名付けて、「モクメが本当に動けますように」と「ねがい」をかけました。 モクメの見た目は不気味という言葉でも足りないほどで、お母さんは当然「そんな気味の悪い物、捨ててしまって、少しはお友だちと遊んだらどうなのっ!?」と叱りますが、等は「友だちなんてべつにほしいとは思わないっ。友だちなんかいなくたって、ちっともさびしくなんかないや!!」と返します。 等は「友だちだと思い込んでいる」モクメに依存してしまっているのですが、その後に転校生の女の子「浦野智子」と親しくなり、モクメを「必要としなくなる」どころか「ジャマだ」「やっぱり気味悪いや」と思うようになり、ついにはビルの建設予定地に捨ててしまいます。 そして……しばらくしてから、以前に等がかけていた「モクメが本当に動けますように」という「ねがい」が本当に叶ってしまうのです。そこからどのような恐怖が等に襲いかかり、彼がどのような行動をとるのかは……予想はできると思いますが、ここでは秘密にしておきましょう。 ●「さようなら、ドラえもん」とのシンクロ