70代・職歴なしの独身二男、病に倒れ要介護に…親を看取ってもまだ続く「きょうだいの介護」の大問題
価格下落が懸念されるエリア…売却をためらわないで
田中さんの実家は最寄駅より徒歩20分以上と、車移動が必要なエリアです。路線価が上がっている都市圏と異なり、むしろ年々路線価が下がっている地域です。この先、ますます価格が下落する懸念もあることから、空家で維持するメリットはありません。 田中さんのきょうだい全員、その点を理解されており、購入希望の不動産会社が提示した金額に納得し、売渡承諾書にサインする運びとなりました。 この会社は購入後に建物を解体するとのことで、解体費の負担もなくなりました。
恐ろしい…空家のまま保有し続ける、とんでもないリスク
田中さんの弟さんはまだ70代です。これからの特別養護老人ホームの生活が長く続くと思われます。 年金と預貯金でホームの費用はぎりぎり賄えそうですが、それでも入院、治療などの想定外の出費があるかもしれません。 「空き家の固定資産税の支払いだけではありません。植木の越境や落ち葉の問題、台風でもし瓦が飛んだら…など、心配事が多すぎて、あまりにもストレスが大きくて…」 田中さんはそういうと、ため息をつかれました。 下の弟さんの意思確認は、弊社が提携する司法書士がホームに出向いて行い、契約などの事務的なことは委任情を作成し、田中さんが行い、問題なく実家の売却が完了しました。田中さんも、弟さんたちも、お金の心配がなくなったことを喜ばれました。 脳梗塞の症状の悪化や、認知症の発症により、意思確認が取れなくなれば、家の売却ができなくなる事態も考えられました。今回、早い決断が奏功したよい例だと思います。 近年では、高齢化が進展するとともに、独身の方も増えています。親の介護問題ばかりでなく、田中さんのように、きょうだいの介護問題に直面するケースも出てくるでしょう。もしこのような問題が起こったら、先延ばしすることなく、選択肢が多いうちに対処をすることが重要だといえます。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子