「払えないから頼っているのに…」高額療養費制度の自己負担額引き上げ検討へ 現役世代の保険料軽減も 専門家「医療保険制度の財政健全化につながる」
厚生労働省が「高額療養費制度」の自己負担額の引き上げ案を検討している。一方で、医療費増加に伴い、現役世代の保険料負担を軽減することも同時に検討している。専門家は、引き上げを今行うことで、将来的な医療保険制度の財政健全化につながると指摘する。 【画像】70歳未満の年収別高額療養費制度の自己負担限度額
「高額療養費制度」に新たな動き
突然襲ってくる大きなけがや病気で医療費が高額になった時、患者の自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」。この制度を巡り、新たな動きがあった。 5日のテーマは「高額療養費制度の自己負担額がアップ?ソレってどうなの?」だ。 高額療養費制度とは、手術や入院などで1カ月の医療費が上限額を超えると、その分払い戻される仕組みのこと。その自己負担額が引き上げられるという案について、東京・江東区の砂町銀座商店街で街の声を聞いた。 60代: 歯の治療で(高額療養費制度)使いました。それが高くなると困ります。やっぱり。 40代: 特に大きい病気の方の負担が増えるのはダメかなと思います。父はガンをやったので、大病しているときの負担が増えるのはちょっと悲しいなと思います。 高額療養費制度の自己負担額は、年齢や所得によって上限が決められている。70歳未満の患者の場合、3万5400円から25万2600円ほどの5つに分けられている。 具体的に例を挙げると、医療費が月100万円かかった場合、年収が500万円の人の現在の自己負担額は8万7430円と、医療費全体の10分の1以下になる。 街で取材を進めると、実際に高額療養費制度を利用しているという方に出会った。 20代: 払えないから(高額療養費)制度に頼っているのに。 30代: (高額な療養費は)払えないし、払った分が痛手なので、戻してもらえるのは戻してもらわないと…治療やめちゃう場合も出てくるよね。 医療費が増加する中、厚労省は高額療養費制度の自己負担を増やすことを検討している。その一方で、保険料を多く払っている現役世代の加入者の負担を減らすことも同時に検討している。 保険料はどれだけ安くなるか、5日の審議会で示された試算では、患者の自己負担の上限額を5~15%引き上げた5つのパターンが示された。 最も大きい15%引き上げた場合、加入者1人あたりの保険料の負担は後期高齢者で年に1200円。現役世代は5600円減るとしている。5%の引き上げだと、年600円から3500円、負担が軽くなる計算だ。 30代: 実費の負担が減るのであればありがたい。家計がいま給料上がらず物価が上がっていく一方なので。