「男女格差」日本は世界“118位”やはり不名誉? “クセ強”も指摘される「ジェンダーギャップ指数」の本質的な見方とは
男女格差はむしろ「過小」に見積もられている
ただし、牧野博士は『ジェンダーギャップ指数』にも不足があり、現状でも日本の男女格差が過小に見積もられていることを指摘する。 ジェンダーギャップ指数では、各国が集計していないデータは反映されない。たとえば2022年までは日本は「教育」の分野で1位だったが、これは大学就学率男女比のデータが反映されていなかったことに由来する。 現在でも、日本は「専門職の男女比」を集計していない。このデータが指数に反映されたなら、日本の順位がさらに下がる可能性は高い。 また、2023年の125位から順位が7つ上がったのは、女性閣僚の数が2人から5人に増えたことのみによるもの。 「それ以外に何も解消された実感もないのに、順位が7つ上がったということだけをみても、ジェンダーギャップ指数にも欠点があることは分かると思います」(牧野博士) さらに、日本は先進国のなかではとくに「無償の家事労働」の負担が女性に偏っている国であるが、ジェンダーギャップ指数の順位には家事労働時間の男女比は反映されない。 ただし、一部の国については、補足資料として男女ごとの「1日のうち無償の家事および介護労働に費やす時間の割合」が掲載されている。日本は男性が約3%であるのに対して女性は約15%、女性は男性の約5倍。アメリカも女性は約15%だが男性も約10%(差は1.5倍)、イギリスは男性が約7%であるのに対して女性は約13%だ(差は約2倍)。この差を見れば、やはり、日本では家事負担の男女差がとくに大きいことが分かる。 どんな指標も物事の一面しか表さないのだから、ジェンダーギャップ指数を見る際にも順位だけに注目するのではなく、具体的な項目を確認することは大切だ。その一方で、指標がたしかに表している「日本の男女格差の激しさ」という現実を直視することも、必要となるだろう。
弁護士JP編集部