県の初動対応「失態」 災害救助法適用困難に 本島北部豪雨
沖縄本島北部を9~11日に記録的豪雨が襲い、比地川(国頭村)の氾濫や民家の床下浸水など大きな被害が出ており、県の初動対応の遅れを問題視する声が出ている。14日、県議会の与党県議団が県庁を訪れ、玉城デニー知事に被災者支援などを緊急要請。「(初動対応の遅れは)県の失態。このようなことが二度とないよう、危機管理を見直してほしい」(山内末子県議)などと批判した。 本島北部の豪雨被害に対し、県が災害対策本部を立ち上げたのは11日になってからで、この時点で大雨は収束に向かっていた。 このため、災害の被害が発生する恐れがある時点で申請する必要がある災害救助法の申請が遅れ、同法の適用が困難になった。国予算による十分な被災者支援が受けられない可能性がある。 与党県議団からは「初動で判断が遅れ、適切な対応につながらなかった」「対応の遅れをしっかり反省し、今後の災害の際にはすぐに災害救助法適用で動いてほしい」などと厳しい声が相次いだ。 氾濫した比地川について県議の一人は「地元が複数回、県に浚渫(しゅんせつ)を要請したにもかかわらず対策が取られなかったと聞いている」と、県の事前の対応にも問題があったとの見方を示した。 池田竹州副知事は11日に現地を視察したが、玉城知事が現地に向かったのは13日になってからだった。知事は自身の視察がずれ込んだ理由について「公務があった」と説明した。 今後は国との窓口を防災危機管理課に一本化することや、被災情報を収集するリエゾンの派遣、災害見舞金の拡充などの対策を進める。被災者対策の予算は既決予算の流用や予備費などで確保する。 玉城知事は「一日も早い復旧と被災者の暮らし再建に向けて全力で取り組む」と強調した。 与党県議団は被災者支援のための財源確保、災害救助法適用申請に向けたマニュアル策定、氾濫の恐れのある河川の浚渫などを要望した。