東京ミッドタウン八重洲に伝統工芸「金継ぎ」モチーフのツリーが登場!金継ぎ体験のワークショップを通して石川県能登の復興支援も
JR東京駅と直結する大規模複合ビル「東京ミッドタウン八重洲」では、2024年11月14日(木)から12月25日(水)の期間でクリスマスイベント「MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2024」が開催される。昨年に引き続き、一番の見どころは、歴史ある日本の職人の技術とクリスマスという冬の風物詩のコラボレーション。去年は青森県のねぶた師と作り上げた「ねぶたさんた」というライトアップ作品が登場したのだが、今年は石川県で盛んな伝統技法「金継ぎ」がモチーフになった作品が登場する。 【写真】割れた陶磁器のヒビを活かし、金粉で新たな美を生み出す「金継ぎ」 ■陶磁器に付いた傷から新しい美を作り出す「金継ぎ」 金継ぎとは、割れたり欠けたりヒビが入ったりした陶磁器を漆で接着し、継ぎ目を金、銀、朱色などで飾る日本の伝統的な修理技法。欠けた部分を自身の想像力で補い、ヒビや欠けに新しい美を見出す点が、ただの修理とは異なる特徴だ。 大切な器を長く使えるだけでなく、金継ぎすることによってさらに美しくなるという魅力から、近年では茶人や骨董品に関心がある人以外からも注目を集めている。できてしまった傷を隠すのではなく、金粉で際立たせるように修理する金継ぎは、傷を認め、受け入れ、傷ごと愛し続ける精神的な側面も含まれている。 ■イルミネーションの名前は「キンツギツギキ」!?イベント担当者に話を聞いてみた 今年の「MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2024」で登場する、金継ぎモチーフのイルミネーションは「キンツギツギキ」という名前の作品だ。「キンツギツギキ」は、⽯川・能登の木材と東京の木材を「⾦継ぎ」さながらに「接ぎ木」のようにつなぎ合わせて制作されたという。今回は、「キンツギツギキ」のアイデアの由来や、見どころなどについて聞いてみた。 ――金継ぎをモチーフにしたインタラクティブツリーの設置に関して、意図やターゲットなどについて教えてください。 東京ミッドタウン八重洲では、昨年から「ジャパンクラフト」をコンセプトにしたイルミネーションを実施しており、今年はそのなかでも、国内外から広く注目を集めている金継ぎという伝統技法にフォーカスしています。 金箔の日本一の生産地であり、輪島塗など漆芸が伝わる石川県で盛んな金継ぎから着想を得た、「キンツギツギキ」と題した約5メートルのインタラクティブツリーは、石川と東京の木材を組み合わせて作成されており、バラバラになったものをつなぎ合わせる金継ぎのように、新たな輝きを生み出します。また、ツリーの付近に流れる音楽は、石川県出身のKan Sanoさんの提供です。 江戸時代から日本の職人が集うクラフトマンシップの街として栄えてきた八重洲の街で、金継ぎ×イルミネーションという新たなコラボレーションをぜひご体感いただき、ご友人や家族、大切な方と、素敵なクリスマスのひとときをお過ごしいただければと思います。 ――インタラクティブツリー「キンツギツギキ」の制作のアイデアはどのようにして生まれましたか? 「ジャパンクラフト」をコンセプトにしたイルミネーションを検討する中で、金継ぎという技法とコラボレーションするアイデアが生まれました。イルミネーションの光でどのように金継ぎを表現するか、電飾の種類や光り方、ツリーの形状などさまざまなパターンを検討しました。 また、ツリーに使用する木材には一部、能登の家屋から回収した古材をはじめとした能登の木材も使用し、石川県の「フルタニランバー」「のと復耕ラボ」「古材クリエイト青組」の方々にもご協力をいただき、制作を進めることができました。 ――「キンツギツギキ」は、訪れる人のアクションによって通常演出とは異なる特別なライトアップになるとのことですが、どのように変化するのか教えてください。 ツリーの台座に手をかざすと、それぞれのパーツをつなぎ合わせるよう金色の光が駆け巡り、幻想的な音楽と合わせて空間を彩ります。約20秒の間、音楽も通常とは異なる特別な演出となるので、ぜひお楽しみいただければと思います。 ■金継ぎを通して復興支援も!壊れたものをつなぎ、新たな価値を吹き込む金継ぎの世界を味わおう インタラクティブツリー「キンツギツギキ」が登場する1階ガレリアの隣のアトリウムでは、⾦継ぎ作家でボランティア活動も行う美術家・ナカムラクニオさんによる作品展⽰や体験ワークショップも開催される。体験ワークショップの参加費は、石川県能登地域の復興支援にも充てられる。壊れたものをつなぎ、新たな価値を吹き込む金継ぎを通して、東京・八重洲と石川・能登をつなぐイベントにかける想いをイベント担当者に聞いてみた。 ――金継ぎの作品展示や体験ワークショップの意図や狙いなどについて教えてください。 ただ修理するだけではなく、欠けた部分を自身の想像力で補い、ヒビや欠けに新しい美を見出す「金継ぎ」がどういったものか、実際に作品を見て、作成することで、その魅力をより身近に感じていただきたいです。また、大切にしている器を⻑く使えるだけでなく、金継ぎによりさらに美しくなり、愛着が増していくこともワークショップを通して感じていただけると思います。 【金継ぎワークショップ 概要】 場所:東京ミッドタウン八重洲1階 アトリウム 日時:2024年11月30日(土)、12月7日(土)、12月14日(土) ①11時~②15時~③18時~ ※各回2時間程度を予定。各自終了次第解散となります。 定員:各回10名 参加費:1万円(収益の一部が復興支援に寄付されます) ――今回のライトアップやワークショップなどを通して体験していただきたい金継ぎの世界について教えてください。 今回のイルミネーションやワークショップは「ヒカルキンツギ」を空間のテーマとしており、石川県ともゆかりの深い「金継ぎ」文化で、いまだ傷痕が残る石川・能登エリアに光を当てるイルミネーションプロジェクトです。 金継ぎの持つ、壊れたものをつなぎ、新たな価値を吹き込む力で、東京・八重洲と石川・能登をつなぐとともに、今もなお復興に向けた取り組みが続く被災地に光を当てることを目指しています。 「クラフトマンシップ」の街、八重洲から工芸とライトアップのコラボレーションによって多くの人に感動を届ける、ミッドタウン八重洲のクリスマスイルミネーション。「ジャパンクラフト」を掲げて2年目になる今年は、石川県で盛んな金継ぎを通して、石川県の能登と東京都の八重洲を結ぶイベントになる。金継ぎの魅力や職人が込めた想いに心を寄せつつ、金色に輝く特別な空間で大切な人と心を結んでみてはいかがだろうか? ※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。 文=平岡大和