「冷房使えない」「3食食べられない」 あしなが募金、物価高で申請者増も資金不足で対応できず
病気や災害で親を亡くした遺児や、親に障害があって働けない家庭の子らを支援する「あしなが育英会」(東京都)が給付する奨学金の資金不足が深刻だ。物価高の影響で京都府内でも申請者が増加する一方、半数以上に行き届いていない。京都の遺児学生たちは「進学を諦めてほしくない」と願い、19日から京都市内で街頭募金活動を行う。 【写真】母失い諦めかけた進学、夢つないだ奨学金 物価高を受け、あしなが育英会は7月、奨学金を受ける遺児家庭が対象のアンケートを実施。9割以上が収入で物価上昇分をカバーできず、冷房が使えなかったり、1日3食食べられなかったりする困窮家庭もあることが分かった。 本年度、高校奨学金の申請者数は1988年に制度ができて以来最多となった。街頭で寄付を呼びかけ採用枠を増やしても追いつかず、府内でも65人の申請者のうち、34人には支給できなかった。 「一人でも多くの遺児に進学の夢をかなえさせてあげたい」。学生募金事務局京都ブロックの所属で同志社大4年村上優太さん(22)=京田辺市=は切実に話す。 愛媛県出身の村上さんは小学1年の時に父親を病気で亡くし、母親が勧めてくれた奨学金を利用して高校と大学に進んだ。「京都に来られたのはいろんな人のおかげ」との感謝を胸に、大学1年からは後輩遺児のため街頭募金に立ち続けている。将来は「どんな境遇でも楽しめるゲームを作りたい」とエンタメ業界への就職を志し、大学院に進学する予定だ。 街頭募金は19、20、26、27日のいずれも正午~午後6時、四条河原町とJR二条駅、阪急大宮駅前(26日を除く)の3カ所で行う。寄付に関する問い合わせはあしなが育英会寄付課のフリーダイヤル0120(916)602。