明治神宮外苑再開発で樹木の大量伐採 住民の反対押し切り強行
東京都の明治神宮外苑(新宿区、港区)で進められている再開発に伴い、住民らの反対活動が展開される中、神宮外苑の樹木の伐採が10月28日に始まった。伐採現場周辺は白い壁で囲まれ、脇の歩道も封鎖されており、住民が近づけない状態だ。 31日も現場には作業の機械音が鳴り響き、工事車両が何台も出入りしていた。この再開発をめぐっては署名や裁判といった住民の反対運動もあり、樹木の伐採本数など、事業者側が当初の計画を見直した。 事業者の説明資料によると見直しの結果、3メートル以上の高木の伐採については新ラグビー場や聖徳記念絵画館前の伐採本数を66本削減、16本を伐採から移植へ振り替えた。さらに枯損等による伐採本数を42本減らしたため、合計で743本だった伐採本数を124本減らし、619本となった。 21日に都の環境影響評価アセスメントなどの手続きの再申請・許可などを経て、伐採が始まった。 神宮外苑の再開発は三井不動産、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の4者が事業者で、区域は28・4ヘクタールに及ぶ大規模複合開発だ。計画では神宮球場と秩父宮ラグビー場の位置を入れ替えて整備し、高層ビル3棟を新設する。 再開発区域は都市計画法に基づき都市計画公園に指定されている場所で、都の「公園まちづくり制度」に基づいて実施されている。 都によると、神宮外苑地区のまちづくりの経緯として2015年から18年にかけて、都と「関係者」によるまちづくり協議が行なわれた。15年4月1日に「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」を締結。16年7月22日には「神宮外苑地区(b区域)まちづくり基本計画の検討に関する合意書」を締結し、18年3月30日に「神宮外苑地区(b区域)まちづくりの検討に係る今後の取組等に関する確認書」を取り交わしているという。 その後、アセスメントが実施され、22年2月9日には都の都市計画審議会が開催されたうえで、同年3月10日に「都市計画」決定された。23年2月には神宮外苑地区第一種市街地再開発事業の施行認可がなされたが、住民の反対意見が根強く、事業者が再開発の計画案の見直しを行なった。今年10月21日に環境影響評価審議会に見直し計画案などが報告され、伐採工事が始まった。 開発区域の解体工事や伐採工事は可能だが、建造物の建築などに関わる手続きはこれからだ。