明治神宮外苑再開発で樹木の大量伐採 住民の反対押し切り強行
風致地区にもかかわらず
そもそも再開発される明治神宮外苑は都市計画法に基づく「風致地区」に指定されている。風致地区とは、都市の風致(樹林地、水辺地などで構成された良好な自然的景観)を維持するため、都市計画法によって定められた地区だ。 大正時代の1919年に都市計画法が公布され、それに基づき26年に明治神宮外苑が風致地区に指定された。風致地区内では都市の風致を維持するために、一定の行為を行なう場合はあらかじめ許可が必要となっている。 東京都の場合、再開発が行なわれる前年の2014年には、それまで都が担っていた許認可権限を区市に移譲している。 風致地区の指定があったにもかかわらず工事が行なわれ、住民が原告となった訴訟が起きている。23年2月には住民が原告となって都の再開発認可の取り消しを、同年7月には新宿区に対する伐採認可取り消しを求める訴訟が始まった。 裁判では計画区域の一部を都市計画公園としての指定から外して、本来建てられないオフィスビルを建てられるようにした「制度濫用」などについて争っている。 伐採現場でケヤキの伐採を目撃し、裁判の原告でもある大澤暁さんは「新宿区は区民に知らせず、20年に風致地区のランクを変更して伐採を許可した。ランクの変更がなければ伐採はできなかった。区による風致地区の捉え方が、景観改変から守るためのものとは思えない」と話した。