メェ~(芽)が出るよう頑張る ── 大阪・通天閣で「干支引き継ぎ」
大阪市浪速区の通天閣で26日、年の瀬恒例の「干支の引継ぎ式」が行われ、今年と来年の「えと」である「ウマ(午)」と「ヒツジ(未)」が対面し、ひと足早いバトンタッチ。2代目ビリケンさんが見守る中、四代目・中村鴈治郎(がんじろう)の襲名を控えた歌舞伎役者の中村翫雀(かんじゃく)もヒツジの口上人として登場するなど、にぎやかに大阪府民らの幸福と繁栄を願った。
何とも馬馬しい(いまいましい)一年でした
1956年から続く通天閣の縁起行事として知られる、えとの引き継ぎ式。本物の動物同士が、今年と来年の世相を反映した口上を、ダジャレも入れて引き継ぎをするのは今年で59回目だという。 今年はJRA(日本中央競馬会)の協力で、体長1メートル20センチのポニー「アサミ」が有馬記念特別バージョンで登場。体長90センチのヒツジ「アンジュ」と対面した。 同日午前、多くの観光客らが見守る中、まずは午口上人である通天閣観光の西上雅章社長(64)が「今年はノーベル賞受賞や富岡製糸場の世界遺産登録など、めでたいこともあったものの、馬力も出せず、御嶽山の噴火や広島の土砂災害にもあいました」と述べた。 そして「アベノミクスの効果も少なく景気もウマイチ(イマイチ)。痩せ馬の先走りとなり、何とも馬馬しい(いまいましい)一年でありました。あばれ馬で、本当に申しわけ有馬記念。今年の事は馬耳東風。人間万事塞翁(さいおう)が馬と言う事で、未年に宜しく」と続け、この1年を総括した。
いざ、ヒツジん(出陣)。メェ~(芽)が出るよう頑張ります
これに対し、来年1月に四代目・中村鴈治郎の襲名を控えた歌舞伎役者の中村翫雀(55)が、ヒツジの口上人として登場。来年のえと「ヒツジ」になり代わり「おまかせ下さい。来年こそ前途洋々(羊)、ひつじるしい(著しい)躍進をお約束しましょう。群羊を駆りて猛虎を攻む勢いで、ひつじ(必死)のパッチになって、いざ、ひつじん(出陣)。メェ~(芽)が出るよう頑張ります」と大声で返した。
中村翫雀「翫雀としては最後のあいさつ」
今回、ヒツジの口上人を務めた中村翫雀は、間もなく中村鴈治郎を襲名する。冒頭で「これが翫雀としては最後になるかもしれない」とあいさつ。「来年は松竹も120周年を迎えます。その年に私も鴈治郎を襲名できて大変うれしく思っております」などと話した。 毎年、引き継ぎ式を見に来ているという浪速区の男性(75)は「きょうはえらい人やなぁ。けどいまは、こうやって入ってすぐのところで見られるからええわ。さっきも言うてたけど、ヒツジ年はええことがありますように思ったわ」と話し、家に帰っていった。
地元喫茶店店主「もう引き継ぎの時、ええヒツジ年に」
通天閣近くにある喫茶店店主は「そうか、もう干支の引き継ぎ式か。1年あっという間やなぁ。来年はええヒツジ年になればええなあ。通天閣もいま、工事してるしどんな風に変わるのかがたのしみや」などと話していた。