AIで「本当に“働かなくていい時代”」がやって来る 「AIで今後どうなる?」つんく♂が孫さんに聞いてみた
孫:おそらく「食べていく」という概念がなくなっていくだろうと思っているんです。 つんく♂:国民全員に一定のセーフティーネットが保障されるんでしょうか。生活保護とかベーシックインカムみたいな? 孫:OpenAI(ChatGPTを開発した会社)のCEOサム・アルトマンは本気でそれを考えていて、彼らはベーシックインカムの社会実験に相当なお金を注ぎ込んでいます。 つんく♂:AIがお金を生み出して、配るだけ? たとえ働かなくても、お金は必要ですよね。
孫:ただ、僕自身はベーシックインカムには少し反対なんです。 全員を救おうという発想には賛成ですが、ベーシックインカムで政府がお金を配ることになれば、国民が政府にどっぷり依存することになる。 政府が「お前にはやるけどお前にはやらない」といったコントロールが可能な社会では、国全体が縮こまってしまうと思います。映画の『マトリックス』の世界みたいに。それって最悪の世界、ディストピアだと思うわけです。 つんく♂:なるほど。ぜひ、孫さんの策を聞きたいです。
孫:僕はベーシックインカムではなく、ベーシックアセットという方法がいいと思っているんです。 たとえば同じところに住んでいるとか、同じような価値観を持っているというコミュニティのなかで共同所有するAIやロボットに働いて、稼いでもらう。そして、その利回りが共有のアセットとして、コミュニティのメンバーに渡される。 だから人間は食べるために働かなくてもいい。そういうコミュニティが世界中に、無数にできていくのが理想です。
■江戸時代のように「コミュニティ」で共生していく つんく♂:そうなったら、「あいつよりもいい服を着たい」とか「うまいものが食べたい」といった人間の本質的な欲求みたいなものはどうなるんだろう。社会主義じゃないけど「はいお米、はいお肉」といった配給みたいなイメージもします。 孫:同じものをもらうというよりは、「俺は米だ」「俺は米より酒だ」というように、供給されるものはバラバラでいいと思うんです。そしてそれを金額に換算する必要がなくなっていくと思います。