「チーズは最強のアンチエイジング食品」 実はダイエット食材で認知症予防効果も
虫歯予防効果は世界の常識
さらに、チーズは虫歯予防にも役立つことをご存知ですか? チーズ中のリン酸カルシウムは傷ついた歯の表面や歯に開いた穴を補修する役割を果たします。チーズはpH(水素イオン濃度)がそれほど低くないので歯を溶かしにくく、カゼインが歯の表面を覆い虫歯菌や歯周病菌の増殖を防ぎます。加えて、硬質チーズをよくかんで食べると、リゾチームを含む唾液の分泌が促進されて抗菌作用が増します。 こうした総合的な作用から、WHO(世界保健機関)は2003年に、硬質チーズの虫歯予防効果を、「可能性あり」のキシリトールよりランクが上の「高い可能性あり」に位置付けています。チーズの虫歯予防効果は世界の常識ですが、日本ではあまり知られていませんね。
体内で燃焼しやすい脂肪
ここまで見てきた通り、認知症予防の効果が期待され、サルコペニアやフレイル対策にも役立つ。さらに、牛乳のようにお腹を下す心配も要らない――。健康寿命が気になる中高年にとって、チーズはまさに最適の食品なのですが、塩分が多い上に太りやすそうというイメージを持っている方も多いようです。しかし、それは誤解です。 まず、最も塩分濃度が高いブルーチーズでも4.5%以下ですから、他の食品と比べて特別に多いわけではありません。 また、チーズは脂肪を多く含みますが、乳脂肪に由来するチーズの脂肪は、動物性脂肪の中でも中鎖脂肪酸を多く含むため、体内で燃焼しやすく蓄積されにくいので、肥満を防止する性質があります。 しかも、チーズに豊富に含まれているビタミンB2は脂肪の体内燃焼を促進し、さらにカルシウムも脂肪蓄積を防いでくれます。従って、実はチーズはダイエット向きの食品でもあるのです。その上、コレステロールの吸収を阻害するペプチドを含んでいることから、メタボリックシンドローム予防にも効果を発揮してくれます。
チーズは低GI食品
生活習慣病の話をすると、ある時、知り合いの病院の先生に、医師として最もなりたくない病気は何ですかと尋ねたことがあります。その先生は「糖尿病」と答えられました。 なぜ糖尿病なのか。糖尿病の恐ろしさは血液中のブドウ糖が過剰に増えることによって、全身の血管が傷ついてしまう点にあります。その結果、目が見えづらくなる糖尿病網膜症、腎臓の機能が低下する糖尿病腎症、神経の働きが損なわれる糖尿病神経障害などにつながり、脳の血管が劣化すれば脳出血も誘発します。 では、糖尿病を避けるにはどうすればいいのか。血糖値の急激な上下動、いわゆる「血糖値スパイク」を防ぐことが大事になります。いきなりご飯やパンなどの炭水化物から食べ始める食習慣が血糖値の急激な上昇につながりますが、最近注目されているのが「低GI(グリセミック・インデックス)食品」です。 GI値の低い食品ほど、摂取時の血糖値の上昇は穏やかになります。チーズのGI値は30~35と低く、トマトなどと同程度です。GI値55以下が低GI食品とされており、チーズは精白米の84に比べてかなり低く、低GI食品といえます。