ボラティリティーを味方につけろ、債券市場は不安定な新時代
(ブルームバーグ): 債券投資のベテランらは、この不安定な新時代に活躍できるのは「ファストマネー」運用者だけではないことを見せつけている。
長い間、堅固で信頼できる老後資金の置き場所だった国債は、今や投資の世界で最も予測不可能なものの一つとなっている。ヘッジファンドはいち早くそのボラティリティーを受け入れ、利益を上げてきたが、今や伝統的な債券投資家も同じことを始めている。
目が離せない、米国債急落の好機-ヘッジファンド創業者も不寝番
アライアンス・バーンスタインでインカム戦略のディレクターとして約470億ドル(約7兆3000億円)を運用するガーション・ディステンフェルド氏は、「投資家として、われわれは顧客を落ち着かせることに努めなければならないが、ボラティリティーはわれわれの味方になり得る」と語った。
債券のボラティリティーは過去2年間一貫して他の資産を上回っており、長期利回りは過去10年間の日次平均よりも大きく変動している。つまり、バイ・アンド・ホールド型の投資家はトレーダーに変身しなければならなくなり、そうでなければ目まぐるしい市場の混乱に取り残されるリスクがある。
債券市場の動きが一筋縄ではいかない理由は今週の指標を見ても分かる。米生産者物価は予想以上に上昇したが、消費者物価の前年同月比上昇率は鈍化した。このため、米連邦準備制度理事会(FRB)の年内利下げ観測は維持され、債券のボラティリティーも続いた。
米国債利回り急低下、9月までの利下げ確率は80%超に-CPI受けて
ヘッジファンド、ガルダ・キャピタル・パートナーズのティム・マグナスン最高投資責任者(CIO)は、「今はどちらかといえばトレーダーの市場だ。債券投資家はちょっとした転換に耐え、慣れなければならなかった」と語った。
マグナスン氏によれば、夜間や週末に方向性のあるポジションを持つリスクは高くなり、データのサプライズの衝撃はより大きくなっている。アライアンス・バーンスタインのディステンフェルド氏は、金利感応度の指標であるデュレーションを、過去15年間に行ってきたよりも頻繁に調整している。