いまが解決へ「最後の機会」埼玉・川口のクルド人問題、不法滞在で「不幸を再生産」「感情的な排外主義に陥らず、冷静に法執行求めるべき」
自身もかつて大手メディアの記者だった石井氏は、「クルド人の問題と川口市民らの窮状を産経新聞、夕刊フジ以外のマスメディアが正面から取り上げていない。一部に彼らの人権擁護を訴える新聞もあるが、自らの主観的な社論の押し付けではなく、事実を伝えて主権者である国民に情報の面で選択肢を提供することがメディアのあるべき役割のはず」と強調した。
衆院埼玉2区(川口市)選出の新藤義孝前経済再生担当相(自民党)も今月10日の衆院予算委員会で、クルド人による迷惑行為について「地域では本当に怒りが頂点に達している」と述べ、不法滞在状態の仮放免者などへの対応を政府に求めるなどした。
折しも、米国ではドナルド・トランプ氏が次期大統領に決まるなど、欧米では移民、難民受け入れによる治安の悪化や社会の不安定化が人々の怒りを呼び、各国で政策転換や政権交代が相次いでいる。
「現在のクルド人の問題は『難民』や『移民』ではなく、日本政府が『不法滞在の外国人』の管理に失敗したという話だ。しかし、わずか数千人のクルド人の対策に混乱する現状は、政府が進める大量の移民受け入れの将来を判断する重要な材料になる」と石井氏は力をこめる。
自身も以前は、少子化対策への〝特効薬〟として移民受け入れに賛成だったというが、取材の結果として、こう警鐘を鳴らした。
「いまでは当時の無知を恥じている。川口で起きていることは全国どこでも起きる。現在の日本は、大量の難民、移民受け入れで混乱していった以前の西欧や北欧と同じ状況で、このままならわれわれの知る日本社会は壊れる。ただし、例えば集団としてのクルド人や他の国籍の人々を名指しで非難するような感情的な排外主義には絶対に陥ってはならないし、『差別だ』とひとくくりにされて終わっていい議論でもない。冷静に外国人への法執行を行政に求めていくべきだ。日本はまだ『外国人との共生』の準備ができていない。今後の日本のあり方を熟慮し議論する、これが最後の機会だと思う。移民政策を進めたい政財界も世論が高まれば動かざるを得ず、いまその第一歩が起きている」
(丸山汎)