年末年始、高齢の親を持つ子世代が行っておきたいこと~『親不孝介護』の著者に聞く・前篇~
地域包括支援センターとは
地域包括支援センター(包括)というのは、高齢者の暮らしを地域でサポートするために設けられた公的機関で、その地域に住む高齢者の介護・保険・医療・福祉に関する相談に無料で応じてくれる専門家を要している。相談対象に「要介護認定(→注1)の有無」などの制限はなく、高齢者本人や家族はもちろん、地域住民からの相談を幅広く受けている……のだが、この存在を知っている人は、どれ位いるだろうか。 私自身の場合で言うと、5年前に母が入院・手術をしたので、病院からいざなわれて包括にアクセスすることができた。が、連絡を取ったことのある私でも、この機関の存在はわかりづらいと感じている。なぜかというと、運営組織が地域によってさまざまで、市町村だったり、社会福祉法人だったり、民間企業だったり、NPOだったりするうえに、名前も全国統一されていないからだ。たとえば、杉並区では「ケア24」だし、世田谷区では「あんしんすこやかセンター」、横浜市では「地域ケアプラザ」などなど。知識のない者からすると、「ここは何の機関なの?」「公的なの、民間なの? 有料なの、無料なの?」と悩んでしまい、連絡を取りづらいのではないかと思う。 「自分がやっている介護相談の経験も含めて考えると、包括の存在が世の中に本当に知られていないし、まして活用の仕方はわからない人がほとんどでしょう。とはいえ、利用者にとっても行政にとってもコスパの高い支援ができるかどうかは、どれだけ早く外部サポートを入れられるか次第です。まずは、早めに包括に連絡をしてみてください」(川内さん)
包括にアクセスする
では、どこの包括にどのような連絡を入れればいいのか。 「探し方としては、インターネットで親の住む住所(これは町名だけでなく、何丁目まで入れてください)、スペース、地域包括支援センターと入力して検索すると、その地域を担当する包括が出てきます。公立学校の学区と同じで、必ずしも住まいの一番近くにあるところとは限らないので、まずは該当する包括の場所をチェックしておくといいでしょう」(川内さん) 該当の包括を知ったら、続いては、そこへの「アクセス」だ。 川内さんによると、必ずしも実際に訪ねる必要はなく、電話を入れるだけでもいいという。しかし、電話して何を言えばいいのか……。 「実際に困っていることがあったらそれを伝えればいいけれど、困っていることがなくても、担当区域のどこそこに、今は元気に暮らしている高齢者がいて、家族構成はこれこれ、持病があって、かかりつけのお医者さんがいて、ご家族の連絡先は……といった情報が手に入ることだけでも、包括としては歓迎です」(川内さん) なるほど。 しかし、「何もない状態」でアクセスするのは、包括を探す以上にとてもハードルが高い気がする。 山中さんの場合で言うと、包括の存在も機能も知っていたのに、それでも連絡をしていいかどうか悩んだ。