年末年始、高齢の親を持つ子世代が行っておきたいこと~『親不孝介護』の著者に聞く・前篇~
介護前の準備こそ大事
「親が介護が必要な状態になる前に、子どもの側がどれくらい準備をしておけるかが、その後の介護の質と介護する側(この場合は私と介護スタッフ)の負担を減らすことにつながります。なぜかといえば、あらかじめ介護本を読んだり、セミナーに出るなどしておけば、今後必ず発生する、親が自分をびっくりさせるようなこと~たとえば『家に泥棒が入った!』と警察を呼ぶなどですが(笑)、そういったことに心の準備ができるからです。起きた際に、すでに自分がやらねばならないことがわかっていれば、慌てずに対応できる。避難訓練と同じことです。……なのですが、やっぱり介護の話に触れるのは気が重いですよね(笑)。わかります」(『親不孝介護』より、一部加筆) 多くのケースを知る川内さんも、また力説する。 「本当にどうしようもなくなってからプロに委ねるよりも早い段階から委ねるほうが、介護される側にとっても、介護を委ねられるプロの側にとっても、さらに行政にとってもメリットが大きいんです。なぜなら、問題点に対して早めに手を打つことで、介護される側にとってはご本人により合ったサービスを受けられる可能性が高まりますし、家族は親のできなくなることを受け入れる余裕が持てる。また行政の側からしたら、放置した場合に発生する大きなコストを抑えられる可能性が出てくるのです」(川内さん)
外部サポートは始まる前から
では、「早いうちからする準備」とは、具体的にはどのようなものだろう。 「ぜひやっておいたほうがいいのは、親の住む地域にある地域包括支援センター(以下、包括)に連絡を入れることです。これは、親の生活に不安がある人がやるべきというのではなく、高齢の親がいる人は、高齢の親がいるというただそれだけの段階で連絡を入れることをお勧めします。 実際には、何か問題が起きてから相談に行こうとする方が多いですし、私共のアンケート調査では、問題が起きてからでも包括を利用しない人が多いです。が、問題が起きてからでは余裕をもって対策できなくなりますし、なによりも最初に家族だけでなんとかしようとしてしまうので、外部サポートが必要になったときに、サポートを入れにくくなり、助けを呼ぶタイミングを逸してしまいやすくなるんです」(川内さん)