自殺率は先進国で最悪レベル…隠れ精神病大国、日本の“心の闇”を描いた異色の漫画。NHKドラマ化の先に見据える日本の精神医療への期待「この国には苦しむ心を持つ人を待ち受ける甘い罠が多すぎる」
精神医療へのハードルがどんどん低くなる
――ドラマ化によって、いままで届いてなかったところにも広がっていくと思いますが、期待することはありますか? ドラマを観ていただいた後に、ご家族や周りのお友達と「心」について話す機会が増えることを願っています。その機会が増えれば、「あの人ちょっとつらそうだけど、こういう可能性あるんじゃない?」とか「最近うまく行動できないからちょっと病院に行ってみようかな」とか、精神医療へのハードルがどんどん低くなると思うんです。原作を書きはじめたのも、もともとはそれが目的なので、ドラマに対しても同じように思ってます。 ――今後の漫画の展開について、これから考えてることを教えてください。 どんな内容を取り上げるにしても、いま精神科に通ってる人も、悩んでる人も、そうでない人も、どんな方の心にも関わりのあることを書いていきたいと思っています。 「グランドジャンプ」本誌では「アスリートとメンタル」編の連載が始まったばかりですが、アスリートだから特別心が強いわけではなく、実は一般の人と変わらない悩みを持っていて、その悩みに対する解決法を弱井が見せたときに、アスリートじゃない方でも「ああ、そういうことがあるのか」と思うことがあるはずなんですね。 また、アスリート編で触れる睡眠障害などについても、多くの人にも当てはまる悩みだと思うので、そういったちょっとした生活上でのヒントはこれからも入れていきたいと思っています。 ――弱井先生の過去についても気になるところです。 もちろん今後も少しずつ物語を進めていくことになると思いますが、ゆっくりと、ですね(笑)。「もっと早く教えて!」と言われるかと思っていたんですが、読者のみなさんもこのペースに付き合ってくださっているので、それに甘えてゆったりやらせていただいています。すべてを明かすのは、やはり最終話になると思うので、楽しみにしていてほしいですね。 取材・文/森野広明
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