証券会社からエンタメ界で起業へ。stu黒田貴泰の20代の過ごし方
stuで世界を目指す
学生時代に初めて起業して、2017年に設立したstuで今は、5社目の起業になります。これまでは会社のフレームごとに、音楽や映像、ITなどと手がける事業が違っていたのに対して、stuはすべてを凝縮して一本化し、完全に複合モデルにしました。 stuで今注力しているのは、空間演出とアート。売上、需要ともに伸びています。これはコロナ禍が明けて“体験”に人が集まっていることの表出だと考えています。加えて映像や音楽にも力を入れていて、こちらは投資フェーズに近い。3年後、4年後くらいの中長期的な視点で考えたとき、このマーケットはグローバルで拡大すると見ています。 僕たちは「レッドオーシャンの中にあるブルーオーシャンはなんだろう?」と突き詰めて戦略を練っています。今、日本でも市場は存在するものの国際競争力が低下している領域には「音楽」「実写映像」「ファッション」「アート」の4つがあります。その中で、すでに自分たちが優位性を持っている映像や音楽の領域を中心に、いかにグローバルで売っていくのかを考えています。 グローバルを意識するのは、単に日本のマーケットが頭打ちだからということだけではなくて、コンテンツのボーダーレス化が進んでいるからです。インターネットやSNSで瞬時に世界に接続できる時代なので、日本のルールだけではもう勝負にならない。中国や韓国はすでにその世界線でビジネスを始めていますが、日本はまだドメスティックな様式美にこだわっているように思います。 一方で市場は、日本でもZ世代のファッションやアートのトレンドはグローバルに寄ってきています。欧米とまではいかなくてもアジア全体の大きなトレンドを捉えはじめていますよね。すでに日本の化粧品メーカーがビジュアルの制作を韓国のプロダクションに発注している例もあります。そのような形で製作されたものは、他国、例えばバンコクに掲出されても違和感がない。 今後はもっとグローバルな方向性に進んでいくと予想されますし、stuも“コンテンツのボーダーレス化”の波に乗っていきたいですね。
Forbes JAPAN 編集部