「関税爆弾設計者」ライトハイザー元米通商代表部代表、超強硬保護貿易のトップに指名か(1)
「トランプ国際経済政策の設計者」「生涯米国を代弁してきた鉄の保護貿易主義者」。ロバート・ライトハイザー元米通商代表部(USTR)代表のことだ。トランプ政権1期目にUSTR代表を務めて貿易政策を総括したライトハイザー氏は米国の通商経済のパラダイムを「規則を基盤とする多国間自由貿易」システムから強力な保護貿易主義体系に変えたという評価を受ける。1期目から忠誠心が検証された最側近の中の最側近であり、来年1月に始まる2期目も経済分野の重責を担うことが確実視される。 次期財務長官または商務長官の筆頭に挙がっているが、最近、トランプ氏がまたUSTR代表を要請したという英フィナンシャルタイムズ(FT)の報道があった。FTは8日、「『米国保護貿易主義の設計者』がまた中枢的な通商分野の責任者に指名される可能性のため、中国だけでなく米国の同盟国の間でも懸念が強まっている」と指摘した。 ◆トランプ1期目の韓米FTA改定を陣頭指揮 ライトハイザー氏はUSTR代表当時、国家安全保障を理由に世界の多数の国から輸入する鉄鋼に最大25%の関税を課した。対中貿易強硬論者だったライトハイザー氏は中国からの輸入品に対して初めて関税賦課を貫徹させた。 ライトハイザー氏は2018年の韓米自由貿易協定(FTA)改定交渉の総指令塔でもあった。当時トランプ政権は韓国の対米貿易黒字を問題にして両国FTAの改定を要求したが、ライトハイザー氏はFTA破棄の可能性にまで言及しながら強く圧力を加えた。 当時のカウンターパートだった金鉉宗(キム・ヒョンジョン)元産業通商資源部通商交渉本部長は今年4月末、フロリダ州パームビーチでライトハイザー氏に会った後、SNSで「対中国関税、半導体装備輸出統制などトランプ氏が当選した場合の米国の通商政策について議論した。グラディエーターは毎日剣を研いでいた」と伝えた。 ◆トランプ氏の勧めで『自由貿易という幻想』出版 トランプ氏にライトハイザー氏が及ぼす影響力は大きい。ライトハイザー氏が昨年6月に出した著書『自由貿易という幻想(No Trade is Free)』はトランプ陣営で必読書と呼ばれたほどだ。本を執筆することになったのもトランプ氏の勧めだったという。 トランプ氏が選挙演説で言及した▼普遍関税10-20%▼中国産輸入品に対する60%以上の関税▼メキシコを迂回した中国産自動車に対する100%関税などの貿易政策公約は、ライトハイザー氏の著書や寄稿、インタビュー内容をほぼそのまま引用したことが明らかになり、ライトハイザー氏の影響力が立証された。たとえばライトハイザー氏が昨年末のニューヨークタイムズ(NYT)のインタビューで、自分たちが執権すればすべての輸入品の関税率を10%引き上げると述べたが、その後しばらくしてからトランプ氏が「10%普遍的基本関税論」「中国産輸入品60%関税論」に言及した。