本塁打ゼロの4番の嘆き。広島・新井が「大きいのが欲しい」。
4番に座ったばかりの巨人の大田泰示を例外に見れば、12球団の4番打者で、ただ一人、本塁打を打っていないのが、広島の新井貴浩(38)だ。 8年ぶりに阪神から広島に復帰したが、開幕には右肘痛で出遅れた。それでも昨季の本塁打王のエルドレッド(34)が故障で長期不在、新外国人のネイト・シャーホルツ(31)がまだ対応できていないとあって4月17日の中日戦から新井が4番に抜擢されている。現在の打率は.265だが、得点圏打率は.333をキープ。まだ規定打席に足りないが、リーグ5位の数字だ。古巣の阪神には、打率.462、3打点と打ちまくっているし、黒田博樹(40)が先発する試合にも、打率.462、4打点を誇っていて打撃不振のチームにおいて4番として及第点を残している。だが、本塁打が1本もないのは4番として物足りない。チーム全体の打撃不振も続いている。 ゴメスにレギュラーを奪われた阪神時代の昨年は、打数も少なく、わずか3本塁打に終わっているが、それでも1号は、開幕2試合目となる3月30日の巨人戦だった。 新井自身も、本塁打ゼロの状況に関して「大きいのが欲しいですね」と嘆く。 「今の調子は、いいのか悪いのかわからないんです。とにかく必死でやっています。監督、コーチには、気をつかっていただき、大事なところで使ってもらっています。その期待に応えたいという気持ちだけなんです。ボールは見えています。見極めは、できているんですが、ただホームランが出ない。気持ちの中で、(4番ということを)意識してしまっているのかもしれません。でも、ホームランを狙ってよかったためしがないんです」 新井なりにジレンマがある。 4番は、そのタイプによって役割は違うが、「ひとつコントロールを間違えばホームランを打たれる」という恐怖感を相手ピッチャーに持たせて、その前後の打順に影響を与えるという仕事がある。4番の威圧感である。