日本の労働組合は「ごっこ遊び」レベル…「労働運動後進国」に生きる我々が今すべきこと
期待できないストライキ
そもそも、「労使協調路線」の名の下に、大企業では会社側の人事ローテーションの一環に組み込まれており、経営側と本気で対峙するつもりなど最初からない労組も多い。そんな労組ではストなど期待のしようもないし、ストという最大の武器を放棄して徒手空拳で経営側に何を求めても、結果は目に見えている。 つまり日本の場合、特に大企業の企業別労組やそれらが加盟する産別組織、ナショナルセンター(全国組織)である連合や全労連は、悪く言えば単なる労組ごっこである。あるいはどんなに好意的に解釈しても、世界の労働運動の潮流からはかけ離れたガラパゴス的進化を遂げ、職場の改善要求の受付窓口や会社側の諸施策の広報機関といった極めて限定的な役割しか果たさないものと言わざるを得ない。前年比3パーセントを超すことが常態化した物価高を前にして、「3パーセント以上」の賃上げと2パーセントの定期昇給を求めることしかできなかった連合の2024年春闘「基本構想」が何よりもそのことを如実に物語っている。 日本ではいつしか首相が経団連などに賃上げを要請するのが当たり前の光景となってしまったが、放っておけば圧倒的に強い経営側に対し、労働者の取り分を拡大させる役割は一義的には労組が担うものである。そのためには、個々の組合の意識改革に加えて、産業別を軸にした労働界の大胆な再編が欠かせない。息を吹き返したアメリカの労働運動を見ていると、改めてその思いを強くするばかりだ。 『民間企業を妄信する日本…世界の潮流に逆行して「水道民営化」を進めたヤバすぎる信仰』へ続く
井手 壮平