「ぶっちゃけ、めっちゃ痛かった」左足の激痛に耐え決勝アーチ 負傷しても全力プレー、DeNAの精神的支柱
◆SMBC日本シリーズ2024第4戦 ソフトバンク0―5DeNA(30日・みずほペイペイドーム福岡) 【写真】オースティンが先制ソロ…負傷の左足甲「正直、状態は良くない」も2戦連続強行出場 「SMBC 日本シリーズ2024」第4戦がみずほペイペイで行われ、DeNA(セ・リーグ3位)がソフトバンク(パ・リーグ1位)を5―0で下し、対戦成績を2勝2敗のタイとした。左足甲の負傷をおして強行出場しているタイラー・オースティン内野手(33)が4回に右越えソロを放って先制。7回にはシリーズ不振だった宮崎敏郎内野手(35)にも一発が生まれるなど4得点した。投げては先発のケイが7回無失点の快投。2010年のロッテ以来、2度目となるリーグ3位からの下克上日本一へ、投打がかみ合ってきた。 激痛に耐えて走る必要はなかった。両軍無得点の4回1死。オースティンは、石川の146キロ直球を逆方向へ打ち返した。追い込まれたがコンパクトに捉え、右手の押し込みで右翼テラス席まで運んだ。左足甲の負傷をおして2戦連続強行出場。4番の不屈の一撃が流れを引き寄せ、計11安打5得点の猛攻を呼んだ。「本当は全打席歩いて帰ってくるようにホームランを打ちたいけど、あの打席で打ててうれしい」とほほえんだ。 助っ人の闘争心がチームに火をつけた。1点リードの7回には、直前まで打率0割台の宮崎がシリーズ球団最年長弾となるソロアーチで復活を告げる。さらに下位打線がつなぎ、17年日本シリーズでソフトバンクに敗れた悔しさを知る1番・桑原が左越えへ2点二塁打。さらに2死満塁から再びオースティンが左前適時打を放ち、一挙4得点でソフトバンクを突き放した。 打の大黒柱であり、精神的支柱だ。2回2死一塁では佐野の右前打で三塁まで全力疾走。苦悶(くもん)の表情を浮かべ、ひやっとさせた。患部の状態について「ぶっちゃけ、めっちゃ痛かった」と明かした主砲。「打席に入った瞬間にアドレナリンがバっと出る。痛みを忘れるけど、打ってベースについて一呼吸おいたらまた痛みが出てくるような感じ」とギリギリの状態だ。 それでも、三浦監督は「チームのためにという気持ち。全力で走れなくても打つことに関しては問題ないと出てくれている。TA(オースティン)の気持ちが選手やスタッフに伝わっている」とチームに与える力を実感。「早く治ってほしいし、なんで治らないんだろうなとも思うけど、一日一日できることをやるだけ」という助っ人の思いをくみ取り、第3戦前にはDH用、守備に就く用、欠場用のスタメン表が3枚用意されて直前まで熟考。戦力としても精神的にも欠かせない存在となっていた。 投手陣もスコアボードにゼロを並べ、“格差”を全く感じさせない内容だった。2勝2敗のタイとし、本拠地への帰還が決定。主砲は「自分は野球を愛していて、できることなら毎日プレーしたい。過去2年は本当に悔しいシーズンだった」と熱い思いを口にする。今シリーズ打率5割5分6厘と最強助っ人が全力を出し切り、三浦DeNAをけん引していく。 (内藤 菜月)
報知新聞社