著名人が後押しコメント添えた1冊、高校生に20歳までの間貸し出し…「人生の節目に読み返して」
手紙は主催者側がいったん預かり、地元で開催される「20歳を祝う会」が近づく時期に本人に発送する。高校時代の自分からの手紙に目を通し、本を改めて読み返してもらい、祝う会のために帰省したタイミングで返却してもらう仕組みとなっている。
本は貸し出し初日の10月29日から11月中旬まで図書室に置かれ、対象者のほとんどが借りた。「大切な一節に出会える本」というキーワードの本を選んだ3年の女子生徒(17)は、卒業後銀行に就職するという。「社会人としてうまくやっていけるか不安がある。つまずいた時に支えになる文章に出会いたくて選びました」と語った。
市とKOKOKARAは「人生の節目に、かつて自分が書いた手紙や本を読み返し、次に進む力になればいい。地元に思いを寄せるきっかけにもしてほしい」と期待している。
若者の巣立ちに各地で取り組み
巣立ちの時を迎えた若者に本を届けて応援する取り組みは、長野県諏訪市でも行われている。岩波書店創業者・岩波茂雄氏(故人)の出身地で、2022年度から新成人に4000冊以上から好きな1冊を選んでもらい贈呈している。
市図書館の柴田有姫主事は「本を読むことは、知識や知恵の種を自分の中に植えることで、いつかそれが芽吹く」と期待する。
03年から生後3~4か月の子どもに絵本を贈っている東京都西東京市は今年1月、「二十歳のつどい」の会場に20年前にプレゼントした絵本を並べ、心に残っている本を選んでもらうイベントを行った。
市中央図書館司書の小笠原咲菜さんは「本を読んだ記憶はうれしかったこと、楽しかったこと、悲しかったことなど、その時の感情も呼び起こす。悩んだ時に力になる」と話した。