このお仕事って、甘い世界じゃないんだな――森七菜が「割とグチャグチャ」な日々を経て手にした新しい「強さ」
「これまで私は、俳優さん、スタッフさん、家族と、『言い返す強さ』ではなく、自分の力でつらさを塗り替える力を持っている人たちの背中を見てきました。多くを語らずに形で示してくれる方々の姿を見て……うそ偽りや酷評、批判は、自分の新しい力でかき消すしかないんだ、何よりそうしたほうが、言い返すより気持ちいいなって思ったんです。なので、もっと強い力を持って、『私はこうです、バン!』と、堂々と出せるものをどんどんやっていかなければいけないなって」
私は元気でやっているよ、だからあなたも元気でいてね
その堂々と出せる力は、歌手活動が大きく培わせてくれた。『スマイル』で得た喜びと、「より自分の想いを人に届けたい」という気持ちは、森の誕生日となる8月31日に発売されるファーストフルアルバム『アルバム』として形となった。 岩井俊二、小林武史、新海誠らに加え、YOASOBIのコンポーザーのAyase、森山直太朗、コレサワといった、世代もジャンルも超えた作家陣が集まった。そのほとんどを森から楽曲についてオファーしたという。時には作家とともに、曲の世界を練り上げていった。 「例えば新海さんは、『森七菜はこういう子でいてほしい』というどこか父親的な理想で。森山さんは強い私、コレサワさんは恋に素直になれない子……みなさんのそれぞれの視点で『私に対するイメージ』を、素敵な色で歌にしてくださっていて、どの曲も『面白いなあ』と歌いながら思っていました。大げさに言ってしまえば、この一枚を無人島に持っていけば、もう音楽に関しては全部大丈夫!……そう思ってもらえる作品かなあって(笑)」 どの楽曲も世界観は違うが、一つだけ、森が通底したメッセージを込めたという。
「『私は元気でやっているよ、だからあなたも元気でいてね』って、歌で、自分の言葉で届けたいという思いがあります」 『アルバム』の発売を記念し、9月24、27日の2日間にわたり初のワンマンライブ「㐂~よろこび~」を開催する。しかも、24日に開催する地元・大分でのライブ会場は、デビュー以前にオーディションで立った場所だという。 「そのオーディションは普通に落ちて、『うえ~ん!』って泣きながら帰ったんです。まさかそのステージの真ん中に立って、しかも歌うって……夢のようで、『あまりにもストーリーができすぎじゃない? もはや、やらせレベルでしょ!』って(笑)」