なぜマリ戦の前半途中から4-4-2のようになったのか。相手を見ながら可変。大岩ジャパンの4-3-3を読み解く【U-23代表】
大岩ジャパンが積み上げてきた1つの強み
もう1つの理由は守備面だ。マリは4-2-3-1だが、ボランチの1人であるイスフ・ベンバ・シソコがセンターバックの間や脇に落ちて、3枚回しになることが多い。そうなると4-3-3のままではプレッシャーをかけられず、簡単に縦パスを入れられてしまう。 山本も「相手の12番(シソコ)が降りて、スリーっぽくしてきたところでミスマッチが生まれた」と振り返る。ロングボールも織り交ぜてくるマリに対して、植中が前に出て、藤尾と一緒にプレッシャーをかけに行くのはロジカルな変更だった。 こうしたビルドアップにおいて、相手の立ち位置というのは常に固定されるものではないので、この形には4-4-2にしたからハマる、4-3-3だからハマらないというものでもない。 そのなかで、相手を見ながら選手が可変していけるのは、大岩ジャパンが積み上げてきた1つの強みでもあり、マリ戦では植中と山本の特長を活かしやすいことも相まって、前半途中から4-4-2に近い形になったようだ。 そもそも、FWを本職とする植中が、4-3-3のインサイドハーフで起用されている理由は、本人もよく理解している。中盤でボールを捌く役割ならば、そうしたプレーを得意とするタレントは他にいくらでもいるからだ。 それだけに植中は「ビルドアップのところは改善しながら、でも自分の良さをなくしちゃいけないと思うので。ゴール前に入っていくところだったり、もっと要求してシュートまで行きたいと思います」と強調した。 4-3-3をベースとしながら、流れや時間帯、組み合わせで可変する大岩ジャパン。次のウクライナ戦はおそらく、チームの主軸である藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)がスタートから入る形で、マリ戦で出番のなかった松木玖生(FC東京)や田中聡(湘南)にもチャンスが与えられるはず。 マリ戦とも違った組み合わせが想定されるなかで、それぞれの特長と試合の流れを考えながら、どういった役割分担やポジションを取っていくのか。勝利にこだわる戦いに合わせて注目したいポイントの1つだ。 取材・文●河治良幸