RIRYDAY制作チームが語る、DIYのグループ哲学「女の子のきらめきを記録するものを作りたい」
メンバーの子たちと最初に話をした時、AKB48もモーニング娘。も知らなくて驚いたんです
ー先ほどアイドル戦国時代という言葉が出ましたが、RIKAさんは2000年代後半から今に至るまでの日本のガールズカルチャーを現場で体験してきたわけですよね。日本におけるガールズグループのシーンをどう捉えているんでしょう。 RIKA:日本のアイドルシーンをリアルタイムで見ていて思うのは、史実に近いということで。歴史上、戦国時代があった後に鎖国があって、日本文化を強固にする時代があり、黒船がやってきて開国をして外国の文化が入ってきた。それがアイドルシーンでも起きているなと思っていて。2010年代は、それまでアイドルがやっていない音楽を取り入れて発展してきた時代だったと思うんです。それをやり尽くした感が2020年頃にあったというのが肌感覚で。そんなことをしているうちに、他の国では全然違う音楽のアプローチやビジュアルで盛り上がっている文化ができていた。それが今、どんどん日本のアイドルシーンを塗り替えている実感があります。 ーまさに黒船としてK-POPが日本のアイドルシーンを塗り替えている、と。 Rina:私もK-POPのカラーが強く入ってきたんじゃないかなと思います。日本のアイドルは、頑張って練習してどんどん上手くなっていく様をファンが推していくカルチャーが強いけど、韓国は最初から完璧に仕上がった状態でデビューする。それが日本にも取り入れられてきて、ダンスにすごいフォーカスが当たってきたのかなって感じますね。以前だっら、こんなに踊ったら歌えないでしょ?!って振りを詰め込まれていると思うし、アイドルになるレベルが一段階アップしている。踊れる子も、歌も上手い子が今は本当にいっぱいいますね。 ー実際、女の子たちの意識は変わってきているんでしょうか。 RIKA:RIRYDAYのメンバーの子たちと最初に話をした時、AKB48もモーニング娘。も知らなくて驚いたんです。自我が芽生えた時からK-POPの音楽を聴いて、K-POPが好きでやってきている。本当に新世代というか。特に最年少のJURIは、日本のエンタメを本当に知らない。だから、自分としてもRIRYDAYというプロジェクトは、アイドルの転換期としてすごく大切になってくると思っています。ファンの方たちが応援して一緒に成長していく日本のアイドルのパッケージングも大切にしたいと思う反面、さっきRinaさんが言ったみたいなK-POPの、すでに完成されたものを最高のエンタメとして皆さんに提供することの融合を考えています。どこにもロールモデルがないグループかもしれません。 ー前例がないという点で、RIRYDAYのコンセプトはどういったものなんでしょう。 RIKA:時代が変化していく中で、多様性がキーワードになっているじゃないですか。いろいろな性別や生き方を認めて、みんなが生きやすくなることは最高だと思うんです。ただ、その中で、女性しか持ってないものがないがしろになってしまっている気がしていて。これから大人になっていく女の子たちが戦わなきゃいけないことを強いられる時代でもあると思うんですけど、私が子供の時に憧れたり、なりたいと思ったのは、プリンセスだとか、可愛さとか、優しさとがあるもの。それも大切なものなんだよってことを、今から大人になる女の子たちに提示してあげられるようなものを作りたい。 ―グループ名にはどのような意味があるんでしょう。 RIKA:RIRYDAYの「リリィ」っていうのは、ジブリの「魔女の宅急便」に出てくるキキの部屋の隣に住む白い猫だったり、私の大好きな作品「ONE PIECE」のビビの先祖の名前や、映画「リリィ・シュシュのすべて」、フェイバリットであるthee michelle gun elephantの楽曲「リリィ」など、自分の中の女の子っていう概念を表す響きなんです。一瞬一瞬ですら木々が育つように成長し、変わり続ける全ての軌跡を美しく思い馳せる、そんなきらめいた日々の追憶と記録。過去も未来も、子供も、大人も、おばあちゃんも、全ての女の子を肯定するようなものを作りたい。RIRYDAYは、それをコンセプトにしています。 Rina:確かにちっちゃい時に憧れたものってプリンセスだし、その気持ちを忘れちゃいけないなってことがグループ名に入って、コンセプトにもあることは、私にもすごく響いていて。これを早くファンの人たちに知ってもらいたいですね。 RIKA:この話をしたとき、男の人には全然関係ないのかってなると、そうじゃなくて。女の子が女の子のアイドルを応援することと、男の人が女の子を応援するのは根本的なものが違って。女の子に憧れられる対象になってほしいけど、男の子にはずっと夢中になって目が離せないときめきを届けれたらいいなと思います。 ーコンセプトフォトには、メンバーだけでなく、ワニがいたり、金魚がいたりと、1人1人違う世界観になっていますよね。ここにはどういう意図があるんでしょう? SAKURAのコンセプトフォト RIKA:今はアニメやサブカル的なものを好きなことが格好いい時代になっていると思います。でも自分が学生の頃は、漫画とかアニメを好きと言いづらい雰囲気があったんです。自分のルーツは、日本のエンタメが成熟していた平成のサブカルチャーで。中でも、私が憧れたサブカルチャーのエッセンスをコンセプトフォトに入れています。気づいてくれるのが1番面白いので細かくは説明しないんですけど、1つだけ、どうしてSAKURAがワニを連れているかと言うと、岡崎京子さんの漫画『pink』の主人公の女の子がワニを飼っているんですね。そういうものをコンセプトフォトに取り入れています。メインカルチャーだけじゃなくて、サブカルチャーを好きだった日陰者と言われていた女の子たちの好きな気持ちも肯定したかった。なので、最初にコンセプトフォトを出したんです。いろんな価値観を認めてくれると感じてもらえるものを、増やしていきたいと思っています。