春風亭一之輔 11月28日から独演会「春秋三夜2024秋」 落語の楽しさ広めたい
落語家、春風亭一之輔(46)が28日から3夜連続で開催する独演会「春秋三夜2024秋」(よみうり大手町ホール、産経新聞社など主催)に臨む。平成26年から毎年春と秋に実施してきた人気シリーズだ。ほぼ毎回、これまで披露したことのない噺を高座にかけ、自身の成長を確かめる場も、この秋で11年目を迎えた。次の10年に期する一之輔の思いは「志がないのが僕たるゆえん。大きな目標とか特にないんです。いつも通り楽しんで落語の楽しさを広めていきたい」と自然体だ。 【写真】グッズチケット購入でもらえるオリジナルグッズ4点セット ■新しい噺を披露 一之輔は平成24年3月、33歳のとき、21人抜きで真打ちに昇進した実力派だ。令和5年2月には日本テレビ系の国民的演芸番組「笑点」の大喜利メンバーに抜擢。今や最もチケットの取りにくい落語家の一人となった。 「春秋三夜」シリーズは一之輔にとって、常に高みを求めて成長し、変化する自分の姿を確認する実験的な場所だった。「意識的に新しい噺を披露してきました。もう15演目は超えたでしょうね」 駆け出し時代から引き出しを増やし、懐の深い落語家になろうと、あえて負荷をかけてきたといい、「春秋三夜」シリーズは良い実践の場だった。 ■問題意識と戦略 一之輔はなぜ、実験的な場を必要としたのか。背景には一之輔なりの問題意識と戦略があった。 「お客さんにこびるわけではないけれど、落語ファンを増やすため、落語を聞いてもらう機会を増やし、大事にしていかなければならないと思っています」 それには2つのやり方があるという。1つは、コアな落語ファンを対象にしたものだ。 「柳家三三さん、桃月庵白酒さんといった、落語好きな人ならば全員が知っている実力者と公演で組むとき、僕はどんな落語を見せるか。絶対におろそかにしてはいけない部分です」 2つ目は、「笑点」しか知らないお客さんへの対応だ。 「都内や地方の会場にお客さんをいっぱい呼び込んでもうけたいとなると、興行なので『笑点メンバーが2人必要』なんていう声も出てくる。僕はそういう仕事も受けますよ」と一之輔。自身が落語という新しい世界の窓口となって、魅力を伝えればいいという考えからだ。 その下準備で欠かせないのが「春秋三夜」シリーズへの出演だともいう。「新しいネタを披露し、増やし、いつどこでも使えるようにしておく。お客さんには僕を通じて落語の広い世界を知ってもらう」。初めて落語を聞く子供らのもとへ、どんどん足を運びたいそうだ。