小山市長に忖度、講演依頼を撤回 交通事故遺族憤る、栃木
栃木県小山市が、交通事故の遺族に講演を打診後、浅野正富市長が事故の相手側弁護人だったことが分かり、依頼を取り下げたことが5日分かった。市の担当課は市長に忖度して撤回したことを認め、事後報告を受けた市長は「弁護士倫理的に被害者側との関わりを控える必要があり、依頼すべきではないと判断した」としている。栃木市に住む遺族楠野祇晴さん(77)は「市長を批判するわけがない。遺族感情を踏みにじっている」と憤る。 講演は市長も出席し、小山市と同県野木町が10月に主催する「犯罪被害者支援市町民のつどい」で予定されていた。 7月に市が事故の悲惨さや安全運転の大切さを伝える講演を打診。楠野さんが受諾後、市長との関係も伝えたところ、正式な依頼を取りやめた。 楠野さんは2001年に息子の敦司さん=当時(22)=を亡くした。バイクで交差点を直進中、右折してきたトラックと衝突した。トラック運転手を業務上過失致死で有罪とした刑事裁判と、運転手に損害賠償を求め最終的に和解した民事訴訟で、運転手を弁護したのが市長だった。