RB残留の角田裕毅、単年契約はF1での将来を保証するものではない
【ベテラン記者コラム】 5年目を迎えることが決まった。自動車F1シリーズに参戦するRBは8日、角田裕毅との契約を来季まで延長すると発表した。前身のアルファタウリから2021年にF1デビューを果たし、参戦4年目の今季は通算8勝を誇る同僚のダニエル・リカルド(オーストラリア)を圧倒。第9戦カナダ・グランプリ(GP)終了時点でドライバー部門で総合10位につけ、RBの製造者部門6位に貢献している。 【写真】角田裕毅が所属するチーム「ビザ・キャッシュアップRB」のチームロゴ 「RBに残ることができてとてもうれしいし、こんなに早い時期に将来が決まっていい気分だ。僕のキャリアにおいて重要な役割を果たし、これからもそうあり続けるであろうレッドブルとホンダに感謝している」 RBの兄弟チーム、レッドブルは4日にセルヒオ・ペレス(メキシコ)との契約を2年延長し、26年シーズン終了までチームに残留させることを決定した。ドライバー部門総合3連覇中のマックス・フェルスタッペン(オランダ)は28年までの長期契約を結んでおり、角田の来季昇格はその時点で消滅していた。 角田が離脱を決断した場合、移籍先は製造者部門でRBより下位に沈むハース、アルピーヌ、ウィリアムズ、ザウバーの4チームが候補だった。現状では最良の選択だったといえるが、問題は契約期間が複数年ではなく単年だったことだ。 レッドブルとRBはホンダが技術支援している「Honda RBPT」のパワーユニット(PU)で参戦しているが、26年からは米フォードと提携する。ホンダ育成ドライバーの角田にとって、日本メーカーとの関係が継続する来季がレッドブルに加入する絶好のチャンスだった。 F1では再来年から車体、PUともに新規則が導入される。このため現在シートが確定しているほとんどのドライバーが26年までチームに留まり、25年を準備期間にあて、来るべき大変革のシーズンに一丸で備えることになる。角田が来季限りでRBから放出された場合、2年後は所属先が見つからず、路頭に迷う可能性がある。 角田を支援するホンダは26年からF1に復帰し、アストン・マーチンとタッグを組む。元総合王者フェルナンド・アロンソ(スペイン)は同年までの契約を締結しており、同僚でチームオーナーの息子ランス・ストロール(カナダ)は余程のことがない限り、その座は安泰。24歳の日本人ドライバーが移籍するには空きがない状況だ。