高血圧のシンシンの「パンダ団子」は黄身抜き、双子の生活は別々に…上野動物園の“親子パンダ4頭”の今
1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。 【画像】個性ゆたか!上野動物園のパンダ一家の写真を見る 「CREA」2024年夏号の「猫のいる毎日は。」特集。その一部を抜粋し、掲載します。 いま上野動物園には、育ち盛りの双子と、親パンダが暮らしています。それぞれの特徴と、日々の様子について同園の副園長兼教育普及課長である冨田恭正さんに伺いました。
3歳を迎え、返還期限が気になる双子パンダ
東京で1972年からジャイアントパンダを飼育している恩賜上野動物園。現在は親子4頭のパンダがいて、8人が飼育を担当している。 子どものシャオシャオとレイレイは上野動物園で初めて生まれた双子のパンダ。昨年3月の親離れ後も一緒にいたが、今年4月15日から別々に暮らしている。 「決して仲が悪かったわけではないのですが、じゃれ合いがエスカレートしてケガをしてはいけません。単独で暮らす動物なので、思い切って分けました」。同園の副園長兼教育普及課長の冨田恭正さんはこう語る。 時おりシャオシャオがのけぞり、レイレイが後ろ歩きすることもある。 「常同行動の一つだと思いますので、やぐらを組んでエンリッチメント(飼育動物の生活環境を豊かにする取り組み)としたり、昼間に竹を食べる時間が長くなるよう竹の配置を工夫したりしています」(冨田さん) 双子は3月に完成した高さ約3.5メートルのやぐらによく登り楽しそうにしている。5月にできたハンモックにも興味津々だ。
高血圧になったシンシン「パンダ団子」は黄身抜き
双子の父母のリーリーとシンシンは昨年、高血圧が判明した。上野動物園は中国ジャイアントパンダ保護研究センターとも連携しながら、薬を投与するなど改善に取り組んでいる。 血圧がより高かったシンシンには日常から対策。例えば副食の「パンダ団子」は卵を使うが、シンシンの分は黄身を抜いてつくり、1日の量は通常より少ない400gに。屋外は2カ所のエリアを出入り自由にして運動しやすくした。 都内でさまざまな制約もある中、配慮や工夫をしながらパンダたちが健やかに過ごせるようにしている。