計量大遅刻の井上相手王者は減量疲れで「まるで別人」。試合への影響は?
これまで減量に苦しんできた井上も様々な減量方法を試してきた。それだけに水抜きのリスクを十分に承知している。 「水抜きは体重が戻りやすいと言われています。たぶん今日の朝は、3キロほどオーバーで何時間かで一気に落としたんでしょう。明日の夜9時まで時間があるし、しっかりと回復はしてくるとは思う。水抜きはいい面も悪い面もあって、それが、どうかよくわからないんですが、ダメージは相当でかいですよ。その分、動きも鈍るし、ボディも効きやすくなる」 井上は当日にプラス5キロくらいに体重を戻す予定だが、マクドネルは、さらに上の体格でリングに上がってくるだろう。だが、この日の衰弱度を見る限り、どれだけリカバリーできるかに疑問符がつく。 大橋会長も「減量に苦しむほど回復が遅れる」という。 リーチの長いマクドネルは、ただでさえ懐が空く傾向にあり、亀田和毅との試合でも、パンチに合わせてボディを打たれていた。井上陣営も、そこに弱点があると踏んで準備してきた。おそらく水抜き減量の影響は、ボディへのダメージにもろに出るだろう。井上の左ボディがフィニッシュブロー、或いは、そこにつながるパンチになることは間違いない。 「判定決着は望んでいない。KOを狙っていく」 井上は堂々としていた。 1時間後に部屋から出てきたマクドネルは、サングラスでくぼんだ目を隠していたが、足元はおぼつかず、エレベーターを待っている間は壁に手をつかなければ立っていられないほど衰弱していた。 井上は、ジムメイトと横浜で食事を取った後に自宅へ帰った。 明日のリングへ半端な怒りを持ち込むつもりはない。 「もちろん。実は、もう冷静ですよ」 歴史的な瞬間が近づいている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)