計量大遅刻の井上相手王者は減量疲れで「まるで別人」。試合への影響は?
一方、マクドネルは、その場でスポーツドリンクをラッパ飲みしトレーナーの肩を借りて控え室に入りメディカルチェックを受けた。発表された血圧は、なんと「89/69」。向島コミッショナードクターの診断によると「試合を行うことに問題はないが、脱水症状を起こしている」という。 マクドネルは、その後、部屋に1時間ほどこもって水分を補給して取材対応は拒否、プロモーターのハーン氏がメディアに代弁した。 「海外では30分、1時間の遅れは当たり前だ。騒ぎたてるようなことじゃない。こっちのホテルでは減量ができないから向こうでやってきただけ。その都度連絡はしたし筋は通した。それに4日連続で彼は取材に応じている。今、水分補給しているし、もう取材に応じる必要はないだろう」 ハーン氏は謝罪もせず、長身から報道陣を見下ろした。 「減量の影響? 私は昨日まで体重がどれくらいだったかしらない。バンタム級にはない大きな体だし毎回減量には苦労している。前の試合は、もっと苦しかったから何も問題はない」 マクドネルの減量方法は、水抜きと言われる手法だ。体内の水分を計量直前の短時間で一気に排出する減量方法。筋肉を削る作業が少なくなるため、リカバリーさえうまくやれば、フィジカルのダメージをできるだけ負わずにパワーを維持したままリングに上がることができる。 通常、計量の48時間から24時間前に行うが、計量当日に水抜きを行って失敗するケースが国内外で続出している。サウナや風呂場での半身浴、或いはロープなどで動いて出す汗と尿の排出で体内の水分を抜く。 マクドネルは、前日の会見でも水分をとり、大橋会長はスタバでコーヒーを飲んでいるシーンを目撃した。当日に行う水抜き手法だったのだろう。ホテルの部屋にこもっていたということなので、風呂を使ったのかもしれない。体は真っ赤だったし秤に乗る寸前まで汗が出ていてトレーナーがタオルでそれを拭き取っていた。 だが、水抜きに失敗すると脱水症状などを起こして内臓機能がやられ、極端にコンディションを落として、当日に体が動かないケースが多々ある。IBF世界スーパーバンタム級王者、岩佐亮佑が所属するセレスジムでは、セレス小林会長が水抜きの減量方法を禁止しているほど。