兄弟姉妹の仲は良いが…「遺産分割」で揉めるときに、多くのケースでチラついている影【弁護士が解説】
兄弟姉妹間の遺産分割で揉めやすいケース
兄弟姉妹間の遺産分割は円満に進むことも多い一方で、なかには争いに発展してしまうケースもあります。 では、兄弟姉妹間での遺産分割協議が争いに発展しやすいのは、どのようなケースなのでしょうか? ここでは、被相続人の長男と二男が相続人であることを前提に、遺産分割協議で揉めやすい例を紹介します。 シンプルに仲が悪い 1つ目は、兄弟姉妹間が疎遠となっている場合です。疎遠となっている場合や、前妻の子と後妻の子であるなど確執がある場合には、遺産分割が揉め事に発展しやすいといえます。疎遠であったり、もともと関係性がよくなかったりする場合は、今後の関係悪化を気にすることなく双方が自身の主張をする可能性が高くなるためです。 兄「長男がたくさんもらうべきだ」 vs. 弟「平等にすべきだ」 2つ目は、兄弟姉妹間で遺産分割についての考え方が異なる場合です。たとえば、長男が「被相続人と同居してきて、かつ長男である自分が遺産の大半をもらうのは当然だ」と考えている一方で、二男が「どちらも被相続人の子どもである以上、遺産は平等にわけるべき」と考えている場合などです。 兄弟姉妹の一部だけが生前贈与を受けていた! 3つ目は、兄弟姉妹の一部が被相続人から多額の生前贈与を受けている場合です。兄弟姉妹の一部だけが多額の生前贈与を受けている場合は、感情的な不満も相まって遺産分割でトラブルとなりやすくなります。 チラつく兄弟姉妹の配偶者 4つ目は、兄弟姉妹の配偶者が介入する場合です。兄弟姉妹の配偶者は相続人ではないものの、金銭が関係する問題であるがゆえに、配偶者が話し合いに同席することがあります。配偶者が介入して相続に家庭内の金銭問題(子どもが小さくてお金がかかる等)を持ち込むことで、話し合いがまとまりづらくなるおそれがあります。 わけづらい遺産(家など) 5つ目は、遺産がわけづらい場合です。たとえば、唯一の遺産が被相続人と長男一家が暮らしていた不動産だけである場合などがこれに該当します。 この場合において法定相続分で遺産分割をしようとすると、長男がその不動産を相続する代わりに、長男から二男へ不動産の評価額の2分の1相当額の金銭を支払うことが現実的な落としどころとなるでしょう。しかし、長男が二男に支払えるだけの金銭を有していない場合は、この方法を取れません。そこで、不動産を売ってお金をわけることを二男が希望するなどして、争いに発展するおそれがあります。