陸の孤島救ったドローン、断水予測するAI…能登地震機に注目される防災テクノロジー
令和6年1月1日に発生した能登半島地震は、地方における災害の課題とともにテクノロジーの進歩による防災・減災の可能性が示される契機となった。特に小型無人機(ドローン)は被災状況の確認や物資輸送に貢献し、災害支援の「ドローン元年」といわれた。水道管破損による断水の長期化などの課題を人工知能(AI)で解決する取り組みも進む。南海トラフ巨大地震が警戒される中、テクノロジーをいかに活用できるかが重要となる。 【写真】物資輸送に使われたドローン ■被災建物内で活躍、飛行に規制も 日本の災害対策が大きく変わるきっかけとなった阪神大震災から30年。ドローンやAIといったテクノロジーが普及したことで、これまでなかった防災・減災への取り組みが可能となっている。 能登では激しい揺れで道路が寸断され、複数の地域が「陸の孤島」となった。救助や支援にはまず被災状況の確認が必要となるが、ヘリコプターは出動に時間がかかり、危険な場所に行くことも難しい。そこで活躍したのがドローンだった。 ドローン運用企業のブルーイノベーション(東京)は1月6日に石川県輪島市に入り、自衛隊と連携して土砂崩れによって孤立した集落に人がいないか捜索を実施。リベラウェア(千葉市)は直径20センチの業界最小クラスの機体を使い、倒壊して人が入れない建物内部の被害状況を確認した。同社の向山卓弥氏は「崩れそうな場所でもドローンなら二次災害のリスクなく捜索できる」と話す。 ただ、制度上の課題も浮き彫りとなった。ドローンは航空法により住宅地などでの飛行に制限があるため、地震発生時も自治体からの要請がなければ動けず、初動の遅れにつながった。ドローンの業界団体「日本UAS産業振興協議会」(JUIDA)の鈴木真二理事長は「防犯に活用する案もあったが、規制の問題で実現しなかった。テクノロジーを生かすには制度も変えていく必要がある」と強調する。 ■断水リスク高いエリア、AIで特定 一方、水道管などの破損による断水は1カ月経っても4万戸以上で継続し、阪神大震災以上に復旧に時間を要した。水道管の耐震化の遅れや老朽化は全国で問題となっているが、自治体の予算が足りず進んでいないのが実情だ。そこで地震発生時の断水戸数を事前予測できるクボタの新システムが注目されている。