【MLB】 ヘルナンデスは殿堂入りするか イチローと共にマリナーズで活躍 先発の価値が再考される?
日本時間2025年1月22日、MLBでは2025年の殿堂入り投票の結果開示が行われる。投票最終年を迎える名守護神ビリー・ワグナーは悲願を達成できるか、そして投票初年度のイチローは満票で殿堂入りできるかなど、既に多くの注目が集まっている。イチローと共に今回初めて殿堂入り投票の対象となるのが、イチローと共にマリナーズで活躍したフェリックス・ヘルナンデスだ。ヘルナンデスの殿堂入りの可能性は低いとされているが、彼にも殿堂入りすべき十分な理由がある。MLB公式サイトのマイク・ペトリエロ記者はヘルナンデス殿堂入りの可能性についてまとめている。 【特集】2024年オフシーズンの移籍情報まとめ 2005年から2019年までマリナーズ一筋で活躍したヘルナンデスは、6度のオールスター選出、2010年のサイ・ヤング賞など、様々な栄光に輝いた投手だ。しかし、彼の169勝、防御率3.42、2524奪三振という通算成績は殿堂入りのボーダーには惜しくも届かないだろう。総合指標bWARでも49.7と、データ分析によって明らかになった価値が見直され、殿堂入りするということもなさそうだ。 実際、ヘルナンデスが該当する「通算170勝未満、2800イニング未満」で殿堂入りした1900年以降生まれの投手は7人しかいない。しかし、その7人の内、5人は通算成績が完全に残っていないニグロリーグでプレーした投手だ。それ以外のデイジー・ディーンとサンディ・コーファックスは、いずれもヘルナンデスより投球内容が優れている。リーグ平均の防御率から算出されるERA+では、ディーンもコーファックスも131をマークしており、ヘルナンデスの117を上回っている。 しかし、ペトリエロ記者は、全盛期のヘルナンデスの傑出度は殿堂入りを支持できる要素だと主張している。ヘルナンデスは2007年から2015年までの間、WARで殿堂入り間違いなしのクレイトン・カーショウ(ドジャース)に次いで2位に入る投手だった。そして、その期間の500イニング以上投げた投手の中で4番目に優れたERA+を記録していた。ヘルナンデスの上の3人は殿堂入りが期待される投手たちだ。 10年間にわたってリーグ最高の投手だったヘルナンデスは殿堂入りにふさわしいだろうか。1950年から10年間のスパンで球界最高の投手だった(球界最高のWARを記録した)18人の投手の内、13人が殿堂入りを果たし、2人が殿堂入りを確実のものとしており、2人がフィールド外の問題で殿堂入りを逃した投手だった。 ただ、ヘルナンデスの問題は、彼が全盛期の後に平均的なパフォーマンスすらできず、通算成績を上積みすることができなかったことだ。ヘルナンデスが29歳までに稼いだWARは歴代でも通算12位に入る高水準だったが、ヘルナンデスは30歳以降0WARしか稼げなかった。来年1月の殿堂入り間違いなしとされているCC・サバシアは、30歳以降も平均的なパフォーマンスで殿堂入り確実のラインまで成績を積み上げた。ただ、一般的に記憶に残らないシーズンを数シーズン過ごしたことが、1年目の投票で殿堂入りするか、全く選ばれないかの違いになるのだろうか。そうペトリエロ記者は提起している。 ヘルナンデスにとって追い風となりそうなのは、時代と共に先発投手の役割が変化し、殿堂入りの基準も再考されつつある点だ。先発投手の投げるイニングは減少の一途を辿り、これまでのように200勝、3000奪三振のマイルストーンを達成できる投手も現れなくなるかもしれない。ヘルナンデスのキャリアは変わらないが、それに対する我々の考え方は変わるかもしれないとペトリエロ記者は締めくくっている。