「ウソだろ…」藤井聡太が“1対99”から大逆転、渡辺明は頭を抱え…“衝撃の王位戦”現地で何が起きていたのか「報道陣は“渡辺勝利”で待機していた」
「逆転した!?」「ウソだろ…」まさかの展開に
対局室には投了まで入れない。 建物の前で並んで待機している記者は、それぞれがスマホやタブレットを手に固唾を飲んで戦局を見守ることになる。一足先に控え室を出た立会人の藤井猛九段ら関係者一行が、対局室に向かっていく姿が目に入ってきた。いよいよ決着がつくのだ。 ところが、である。 信じられないことに、ここから勝負がひっくり返った。渡辺の決め手になるはずだった119手目。龍を4一に切っていくと思われたが、駒台にある銀に手を伸ばし、3二の地点に置いて王手をしたのである。 次の瞬間、ABEMA解説の鈴木大介九段が「えぇ……!?」と絶句する。そして、99対1となっていたAIの評価値は大きく揺れ動き、一瞬にして23対77に入れ替わった。それは投了も視野に入っていたであろう藤井が、瞬く間に逆転したことを示している。 まさかの急転直下。 タイトル戦という舞台で起きた、信じられない逆転劇。観戦していた誰もが目を疑った瞬間だった。待機していた報道陣も激しく動揺し、「えっ、やっちゃった?」「逆転した!?」「ウソだろ……」と、あちこちから声が上がり始める。 盤上の異変に気づいたのか、画面越しの渡辺の表情も変化があった。饒舌な解説で知られる鈴木も、「私も棋士生活が長いけど、これは初めて見る光景です。渡辺さんが、こんな筋の勝ちを逃すなんて……」と、言葉が少なくなっているほどだった。
2日連続で目の当たりにした「勝負の恐ろしさ」
これが勝負の恐ろしさか。 対局場の前で待機する筆者の脳裏には、奇しくも、前日夜の光景が思い出されていた。 それは盤上ではなく、ピッチで起きた出来事だった。 ヤマハスタジアムで行われたジュビロ磐田対川崎フロンターレ戦。その試合終盤、2-1と逆転に成功した川崎は5試合ぶりとなる勝利が目前に迫っていた。 アディショナルタイム、ロングボールをキープして粘る磐田のFWジャーメイン良の中央突破に、川崎の守備陣は必死で対応していた。DFの佐々木旭が素早くカバーリングし、最後尾にいたGKチョン・ソンリョンに向けたバックパスでクリアを促す。あとは、それを大きく蹴り出せば、何も問題はなかった。 ところが、クリアに出てきたチョン・ソンリョンがピッチに足を取られ、転倒してしまったのだ。ボールは無情にも磐田の山田大記の前に転がり、難なくゴールネットに蹴り込まれ、劇的な同点弾となった。 ホームサポーターが一斉に立ち上がり、スタジアムが爆発的な歓声に包まれる。記者席の自分は何が起きたのか理解できず、しばし呆然とするしかなかった。 記者席の目の前は、川崎側のベンチだった。テクニカルエリアで指示を出し続けていた鬼木達監督は、同点ゴールの瞬間にガックリと崩れ落ち、地面に両手をつけて悔しがっていた。 勝負は最後まで、何が起きるかわからない。 試合後のミックスゾーンに現れたチョン・ソンリョンは、悲痛な表情を浮かべ「(足が)引っかかってあの状況が起きてしまった。申し訳ない」と言葉を絞り出している。韓国代表として2度のW杯出場経験があり、幾度となく修羅場を潜ってきた百戦錬磨のベテランであっても、不運なアクシデントに見舞われることもあるのだ。そんな残酷な結末を2日連続で目の当たりにすることになろうとは思いもよらなかった。
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