80歳仁左衛門「孝・玉」自然とイキが合う…気持ちは30年前のまま
間口広く
4月には大阪・関西万博が開幕。インバウンドを見込み、解説や通訳付きの初心者向けサービスも拡充されつつある。「歌舞伎のレパートリーの広さ、深さを理解していただくため、間口をなるべく広く、わかりやすく伝える工夫をしたい。初めてのお客様がご覧になる作品は特に重要です」 後進育成にも力を注ぎ、年末の顔見世(かおみせ)では若手の指導に時間を割いた。「先人が築いた芸を次世代に引き継ぐ。私自身が先輩から受けた指導のまま、崩さずに。若手にはお客様を惹(ひ)きつける魅力ある芝居を目指してほしい」と期待をかける。
<お染久松物>
1710年に大坂で油屋の娘・お染と使用人・久松が心中した事件を劇化した作品群。発生直後から、歌舞伎や人形浄瑠璃として相次ぎ上演され、紀海音作「おそめ久松袂(たもと)の白しぼり」、菅専助作「染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)」などがある。近松半二作「新版歌祭文(うたざいもん)」(1780年初演)は、おみつを登場させ、三角関係を描いた。江戸後期の1813年には、七役早替わりの趣向を取り入れた鶴屋南北の歌舞伎「於染久松色読販」が初演された。
松竹創業130周年
片岡仁左衛門 坂東玉三郎初春特別公演 11~26日、大阪松竹座。「於染久松色読販」から「土手のお六、鬼門の喜兵衛」の場と清元舞踊「神田祭」を上演。(電)0570・000・489。