実家を相続したが…売却までの流れを「相続専門税理士」が解説、失敗しない相見積もりの取り方とは?
士業系の宅建業者と一般の宅建業者を比較
不動産業者には2つのタイプがあります。ひとつは士業系の宅建業者、もうひとつが一般の宅建業者です。 税理士や司法書士が経営する士業系の宅建業者は、相続時の相続登記、相続税申告や売却時の所得税申告などの手続きをセットで依頼できます。このような士業系の宅建業者を1社と、平均値に近い査定価格を出してきた一般の宅建業者を1社選択し、話を聞いてみることをお勧めします。 信頼できる業者かどうかは、オフィスの雰囲気や、面談を通じて感じられる担当者の人柄や能力などから、ある程度は判断できると思います。 また、面談を終えて依頼する業者を決めたあと、すぐに契約へ移るわけではありません。契約の前に、訪問査定が行われます。営業担当者が現地を訪問し、図面ではわからない状況、たとえば、日当たり、建物の外壁や内装の傷み具合等を確認します。訪問査定後、3日前後で査定の結果が出ます。 その査定価格に同意できた場合は、査定価格に基づいて売り出し価格を決めます。 売り出し価格を決定する際に考えなければならないのは、売却を実現するまでの時間です。 それなりに時間をかけられるなら、査定価格より高めに設定し、高値での売却を試みることができます。しかし、「相続税の納税のために現金化を急いでいる」「譲渡所得の損益通算のために年末までに譲渡所得を確定させたい」といった事情がある場合は、査定価格と同じか、それよりも価格を下げて売り出しを行うことになります。
売買の手続き「契約・引き渡し・決済」まで
買主が決まると、次は「不動産売買契約」の締結に進みます。 契約時には、買主と売主が対面して手続きを進めることが一般的です。 契約締結時に、買主は売主に対して手付金を支払います。一般的には売買価格の10%が目安です。同時に、売主は仲介手数料の一部を不動産業者に支払います。残りの仲介手数料は決済時に支払うことになります。 契約後は、引越し業者・クリーニング業者の手配、電気・ガス・水道の休止手続きなど、引き渡しに向けて準備を行います。住宅ローンがある場合は、金融機関で繰り上げ返済の手続きを済ませておきましょう。 一般的に、契約→引き渡し→決済まで、およそ1カ月の期間をとります。 決済は、買主が銀行で借り入れを行う場合、金融機関の応接室を借りて、不動産業者の営業担当者と買主側の司法書士の立会いのもと、売主と買主が手続きを行います。 その際、買主は手付金を差し引いた残金を売主の預金口座へ振込みます。確認できれば、司法書士がすぐに所有権移転登記の申請を行います。 手続きの完了後、買主に鍵を引渡します。最後に、売主は仲介手数料の残金を不動産業者に支払いをして、売却が完了します。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄